2016 Fiscal Year Research-status Report
水素ガス吸引によって虚血再灌流障害を複合的に軽減する作用機作の総合的解明
Project/Area Number |
16K15599
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
太田 成男 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (00125832)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 実験外科学 / 水素 / 虚血再灌流 / 脂質メディエーター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、水素ガス吸引によって虚血再灌流障害が複合的に軽減される分子機構を総合的に解明することである。そのためには、水素ガス吸入によって、病態が改善させる事を臨床試験で確認する必要がある。本年度は、臨床試験の結果をまとめることに力を注いだ。西島病院と共同研究で、脳梗塞患者に水素ガスを吸引させて、その効果を調べた。水素ガスを吸入させた患者を50人、対象を50人とした。血液検査では、水素によって変動するパラメーターはなく、少なくとも副作用はないことが明らかにされた。MRIの効果、NIHSS(NIHによる脳卒中重症 度評価スケール)、リハビリテーションの効果を水素ガス吸入効果の指標とした。いずれの指標でも水素ガスを吸入させた患者グループでは有意に改善効果を示し、水素ガスの吸入効果があることが臨床試験で明らかにされた。 水素ガスが将来的に、医薬品、医療器具の保険適用として認可されるには、臨床効果のみならず、分子メカニズムの解明が必要である。水素の虚血再灌流障害への複合的作用のメカニズムを明らかにする事で、その基盤を構築できる。メカニズムについては、脂質フリーラジカル連鎖反応に介入し、脂質メディエーターを改変し、細胞内シグナル伝達機構を制御して、転写因子NFATの活性を低下させることを明らかにした。NFATは、炎症性サイトカインの転写因子だけでなく、エンドセリンやCOX-IIの遺伝子など多数の遺伝子を転写するので、NFATの転写抑制によって、水素の多様な複合的効果が導かれる可能性を示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床試験と基礎研究の双方で、大きな進歩が見られた。 臨床試験では、虚血再灌流障害の代表的疾患である脳梗塞患者で、水素ガス吸入効果が認められ、論文を発表の予定である。 基礎研究では、水素ガスが間接的に転写因子NFATの活性低下を引き起こす事を明らかにした。この転写因子に注目する事によって、水素の多彩な機能を説明しうる。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床試験の結果を詳細に検討したい。また、基礎研究としても転写因子NFATの役割に注目したい。 さらに、運度によって虚血状態が引き起こされるので、水素の効果として、運動への効果も注目したい。最大酸素摂取量を測定する場合には、虚血状態になる。その最大酸素摂取量をボランティアに対して、測定することによって、水素の多彩な効果を明らかにする。
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Causes of Carryover |
初年度は、臨床試験を中心に研究をすすめたので、基礎研究としては、予定よりも少ない金額でまかなうことができました。二年度目は、所属が移動するので、実験に使う費用が多めにかかることが予想されます。そのため、二年度へ使用できる金額を移しました。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新しい所属の実験室で研究を進める事になるので、実験に必要な培養関連器具代、細胞培養試薬や一般試薬代が初年度よりも多く必要となります。
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Research Products
(17 results)
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[Journal Article] The histone 3 lysine 9 methyltransferase inhibitor chaetocin improves prognosis in a rat model of high salt diet-induced heart failure2017
Author(s)
Ono T, Kamimura N, Matsuhashi T, Nagai T, Nishiyama T, Endo J, Hishiki T, Nakanishi T, Shimizu N, Tanaka H, Ohta S, Suematsu M, Ieda M, Sano M, Fukuda K, Kaneda R.
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Journal Title
Sci Rep.
Volume: 7
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Effects of Hydrogenized Water on Intracellular Biomarkers for Antioxidants, Glucose Uptake, Insulin Signaling and SIRT 1 and Telomerase Activity2016
Author(s)
1.Settineri R, Ji J, Luo C, Ellithorpe RR, Mattos GFd, Rosenblatt S, LaValle J, Jinenez A, Ohta S, Nicolson GL
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Journal Title
American J Food Nutr.
Volume: 4
Pages: 161-168
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Feasibility and Safety of Hydrogen Gas Inhalation for Post-Cardiac Arrest Syndrome - First-in-Human Pilot Study2016
Author(s)
Tamura T, Hayashida K, Sano M, Suzuki M, Shibusawa T, Yoshizawa J, Kobayashi Y, Suzuki T, Ohta S, Morisaki H, Fukuda K, Hori S.
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Journal Title
Circ J.
Volume: 80
Pages: 1870-1873
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] 分子水素の可能性2017
Author(s)
太田 成男
Organizer
第33回スパズム・シンポジウム
Place of Presentation
大阪国際会議場(大阪)
Year and Date
2017-03-16 – 2017-03-16
Invited
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[Presentation] 細胞死を抑制する分子状水素2016
Author(s)
太田 成男
Organizer
第25回日本Cell Death学会学術集会
Place of Presentation
品川区立総合区民会館(東京)
Year and Date
2016-09-09 – 2016-09-10
Invited
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