2017 Fiscal Year Research-status Report
水素ガス吸引によって虚血再灌流障害を複合的に軽減する作用機作の総合的解明
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16K15599
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
太田 成男 順天堂大学, 医学部, 客員教授 (00125832)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 水素 / 虚血再灌流 / 脂質メディエーター |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは、水素ガス(H2、以下「水素」という)が生体内で虚血再灌流時において顕著な抗酸化作用を示すことを発見し(Net Med.2007;13:688-694)、様々な疾患の治療と生活習慣病の予防に有効であることを示唆した。さらに水素には抗酸化作用だけでなく、様々な機能を持つことが報告された。現在は水素ガス吸入による虚血再灌流障害への臨床研究が進められている。しかし、このような多様で複合的な作用を発揮することは、従来の科学の知見では説明しえないものである。従来の常識にチャレンジし、基礎研究によって、水素ガス吸入によって虚血再灌流障害が複合的に軽減される分子機構を総合的に解明する。さらに、臨床試験によって、実際の医療に応用できることを示す。同時に、虚血再灌流障害のように急性疾患のみならず、軽度認知障害のような慢性疾患との比較によって、水素の作用機作を明らかにする。 本年度は、臨床試験によって、臨床症状的にもMRIによる病理解析でも、水素ガスを吸引させた脳梗塞患者では有意に改善効果を示した。また、リハビリテーションの改善効果にも有効であった。心筋梗塞患者に対する水素ガスの吸入効果も有効であることを示した。 基礎研究では、マウスの下肢の虚血再灌流障害を作製し、水素ガスの吸引効果を調べた。炎症以前の水素の効果を示したので、再灌流時に水素による直接的な効果と炎症を抑制することによる間接的な効果があることが明らかになった。この論文は、発表学術誌から、コメントが出されたように注目を浴びた。 また、軽度認知障害に対する水素水の飲料効果を動物実験と臨床試験によって明らかにした。この場合は、長期にわたる摂取が必要なので、間接的な効果が大きな役割を果たすと推定できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脳梗塞患者に対しての水素ガスの吸入効果を発表でき、モデル動物の基礎研究についても論文を発表することができた。また、慢性疾患の軽度認知障害に対する研究論文も発表できたので、論文発表としては、概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
水素ガスの吸入効果は、動物実験のみならず、臨床試験においても有効であることが明らかにされた。実際の臨床応用に向かって進展している。水素ガスの吸入効果の分子機作については、まだまだ解明されていない。 虚血再灌流障害の改善効果について、多くの論文が発表されているが、統一的な説明はできていない状況である。様々な仮説を設定して、それらの仮説を文献的に考察することが必要な段階である。間接的な効果と直接的な効果を分離し考察し、水素の効果の分子機構を解明することが必要である。 そのためには、虚血再灌流障害のみならず、運動への効果など別の観点も踏まえて、総合的に考察することが必要である。例えば、運動直前に水素を摂取させ、その後の運動機能や疲労度への効果について解析することによって、虚血再灌流障害を軽減する水素の分子機構に迫ることが可能である。
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Causes of Carryover |
本年度は、研究施設を移動したため、利用できる備品等を把握することが難しかったので計画的に経費を十分使用することが困難であった。来年度は、繰越資金を実験がスムーズに遂行できるように使用する。来年度は、研究成果を国内外に発表のため、海外および国内の学会への出席のための旅費と宿泊費に使用する。また、論文発表の経費としても使用する。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Hydrogen Gas Inhalation Treatment in Acute Cerebral Infarction: A Randomized Controlled Clinical Study on Safety and Neuroprotection.2017
Author(s)
Ono H, Nishijima Y, Ohta S, Sakamoto M, Kinone K, Horikosi T, Tamaki M, Takeshita H, Futatuki T, Ohishi W, Ishiguro T, Okamoto S, Ishii S, Takanami H.
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Journal Title
J Stroke Cerebrovasc Dis.
Volume: 26
Pages: 2587-2594
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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