2017 Fiscal Year Research-status Report
家族の体験を基盤としたクリティカルケアにおける悲嘆ケアガイドラインの開発
Project/Area Number |
16K15905
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
大川 宣容 高知県立大学, 看護学部, 教授 (10244774)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 正隆 高知県立大学, 看護学部, 講師 (60405537)
佃 雅美 高知県立大学, 看護学部, 助教 (50784899)
森本 紗磨美 高知県立大学, 看護学部, 助教 (10457939)
西塔 依久美 東京医科大学, 医学部, 助教 (30761085)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 悲嘆ケア / クリティカルケア / 家族ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
家族の体験を基盤としたクリティカルケアにおける悲嘆ケアガイドラインを開発することを目的としている。本年度は、全国の病院における悲嘆ケアの状況やケアの実態について、救急外来において看護師が行っている悲嘆ケアの構造を明らかにし、援助を提供していく上での阻害要因や促進要因を解明することを目指した。 救急外来看護師が行う悲嘆ケアに関する質的研究及び先行研究を基に、看護師の属性11項目、悲嘆ケアの実施状況32項目、看護師の内省6項目の質問紙を作成した。回答方法は、「全くあてはまらない」から「とてもあてはまる」の7段階尺度とした。救命救急センターを標榜する病院全284施設の看護責任者宛に依頼文書を送付し、研究協力の可否と質問紙送付部数を確認し、最終的に92施設に1392枚の質問紙を配布した。673件を直接郵送法で回収し、有効な回答が得られた669件を分析に用いた。研究実施に際し、所属大学の研究倫理委員会の承認を得て行った。 看護師経験年数は15.4±7.5年、救急経験年数は8.0±11.9年であった。悲嘆ケアの実施状況の項目は、全て天井効果とフロア効果が無く、全平均は4.5±1.4であった。最も得点の高い質問項目は、「患者の外観や周囲の環境を整える」(6.3 ±0.9)で、最も低い質問項目は、「電話訪問により遺族のその後の反応を確認する」(1.6±1.3)であった。時期別でみると臨終期のケアの実施率が最も高かった。 各質問項目の相関分析の結果、個々のケアは関連し合い、特に治療期のケアと臨終期のケアは強い関係性があった。その中で家族が十分に悲しみを表現できているかを確認することは、他のケアとの関係性が強く、悲嘆ケアの指標となる可能性があることが示唆された。また看護師の悲嘆ケアを内省する行為は、ケアの実施状況を高める可能性があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
救急外来での突然の死別を体験した家族へのインタビューについては、専門家によるスーパーバイズを受け、面接時の注意点などを確認し、慎重に進められるようにしている。現在倫理審査受審に向けて準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
救急外来での突然の死別を体験した家族へのインタビューは、繊細なテーマであるがゆえに、慎重に進めていく必要があり、必要なプロセスであったと考えている。悲嘆ケアの専門家によるスーパーバイズが受けられる体制整備もできたので、ケアガイドライン開発に向けて取り組みを続けていく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度計画していた、死別を体験した家族へのインタビューの準備に時間を要し、次年度に実施することになったため、旅費を使用しなかったこと、インタビューのテープ起こしの委託料を使用しなかったことが挙げられる。
(使用計画) インタビューのための旅費、インタビューのテープ起こしの委託料として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)