2018 Fiscal Year Research-status Report
家族の体験を基盤としたクリティカルケアにおける悲嘆ケアガイドラインの開発
Project/Area Number |
16K15905
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
大川 宣容 高知県立大学, 看護学部, 教授 (10244774)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 正隆 高知県立大学, 看護学部, 講師 (60405537)
田中 雅美 高知県立大学, 看護学部, 助教 (50784899)
森本 紗磨美 高知県立大学, 看護学部, 助教 (10457939)
西塔 依久美 東京医科大学, 医学部, 助教 (30761085)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 悲嘆ケア / クリティカルケア / 家族ケア / 救急外来 |
Outline of Annual Research Achievements |
全国の救命救急センターを標榜する施設の救急外来に勤務する看護師を対象として、クリティカルケアにおける悲嘆ケアの実践状況やケアの実態について調査を行った。悲嘆ケアの実施においては、「家族が十分に悲しみを表現できているかを確認する」こととの相関が強いことが分かった。また、看護師の悲嘆ケアを内省する行為がケアの実施を高める可能性を示唆した。 自由記述のテキストデータを分析した結果、救急外来経験年数と記述内容の特徴が見出された。看護師は経験年数を重ね、【介入の工夫】を持つ一方、【介入に伴うジレンマ】を抱きながら、救急外来の特徴を考慮した家族へのかかわりを模索していると考えられた。また、【介入の困難さ】がある中でも、家族の反応を注意深く見ながら【介入の工夫】を実践し、看護師間で【介入の共有】をして、救急外来という場で必要となる介入を思案していると考えられた。救急外来では、短時間のかかわりとなることから【ケアの評価の困難さ】が【介入の迷い】を生じさせている可能性もある。介入の困難さを感じながらも、家族にとって適した介入とするためにも、チームで振り返りの機会を設定することが重要であることが示唆された。 これらの実態調査の結果を踏まえて、救急外来で家族を亡くした家族へのインタビュー調査を行った。結果として、【悲しみを感じる余裕がない】【覚えていないこともある】【経過を教えてほしい】【家族の思いを汲んだ対応がされる】【家族だけで過ごせる場がある】【遺品を丁寧に扱ってほしい】【亡くなった後の手配が不確かである】などが抽出された。家族の反応を見ながら過不足なくかかわることや、混乱している中で必要な情報がさりげなく提供されることを期待していることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予測していた事ではあったが、家族の体験を理解するための面接調査の実施に難航した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで得た結果をもとに悲嘆ケアガイドラインに必要な内容を整理し、救急医療にかかわる医療従事者のヒアリングならびにフォーカスグループインタビューにより、実用可能なケアガイドラインとして洗練化していく予定である。
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Causes of Carryover |
家族を対象としたインタビューに時間を要したため、救急外来看護師の実施する悲嘆ケア項目を確認するための旅費の支出ができていないことに起因する。今年度は、救急外来で行われる悲嘆ケア項目の抽出とケアガイドラインとしての洗練化を目指して、救急看護師のフォーカスグループインタビューを行う予定であり、旅費の執行が必要となる。また研究成果を公表するための旅費などの執行を予定している。
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Research Products
(3 results)