2016 Fiscal Year Research-status Report
補完代替医療におけるエネルギー療法「レイキ」のがん患者への活用モデルの構築
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16K15906
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
杉山 智江 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (50320693)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 補完代替医療 / レイキ / 文献レビュー / がん患者 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.国内外の文献レビューから、がん患者への「レイキ」施術の実態と効果を明らかにすることを目的として、平成28年度は「過去20年間の国内文献からみた補完代替医療におけるレイキの位置づけ~がん患者への活用を目指して~」のまとめを学会で発表した。 (1)■医学中央雑誌Web版(Ver.5)■Google scholarにより検索期間1996年~2016年(20年間)、キーワード「レイキ」「補完代替医療」「エネルギー療法」「エネルギーヒーリング」、原著論文または会議録を除く350件が検索された。このうち論文のテーマや要旨、本文から「レイキ」に関する記述があったのは36件(2000年~2016年)であった。36文献の内訳は「レイキを中心に記述が5件」「レイキの説明と記述が14件」「レイキのキーワードのみ記載が17件」であった。今回「レイキのがん患者への活用」に関する国内文献の報告は見当たらなかった。医療(臨床での活用・効果)に関する記述は10件あったが、そのほとんどが国外文献の引用であった。 (2)米国、英国、ドイツ等のがんセンターや補完代替療法センターでレイキを含む代替補完医療が活用(飯野2008)されており、全米各地の病院で看護師達が日常的にレイキ等のヒーリングを行っている(ラリー2013)、イギリスの補完療法提供施設(LJMC)では、がん治療中の患者に「補完療法選択のためのガイドライン」の中で「レイキ」に該当するチェック項目では不安、うつ(軽度)、疲労感、極度の倦怠感、脱力感、極度の疼痛(例えば骨痛など)不眠、頭痛、吐き気等がある(ジェニファー2007)。このように、がん治療中においてもがん患者自身が、体調や症状に合う補完代替医療を積極的に選択することで、症状緩和に取り組むことが可能であり補完代替医療の一つとして「レイキ」の活用は、意義深いことが文献から示唆されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1.がん患者への「レイキ」施術の実態と効果を明らかにすることを目的として国内外の文献レビューを実施している。(1)学会で発表した国内文献レビューのまとめは、論文投稿の準備中である。(2)国外文献レビューは「レイキのがん患者への活用の効果」を中心に文献を選定し、システマティックレビューも含めて現在文献検討中である。 2.がん専門病院のがん専門医師を対象に、補完代替医療の活用への意識と実態を明らかにすることを目的とし調査研究を実施する予定であったが実施できていない。その理由として「がん患者へのレイキの効果」に関する研究を優先に進めたいため。 3.研究協力者への連絡・調整(1)「レイキ」の施術が可能な調査対象者となる「がん患者(治療中)」の選定及び紹介を医師に依頼する。⇒ 未だ依頼できていない。(2)がん患者に施術が可能な専門セラピストを選定(面接・施術実技)する。⇒「レイキヒーリング」施術の実際を確認し、本研究への協力依頼のための会議を開催した。現在、2名の専門セラピストの協力及び承諾を得ている。また、対象者へ「レイキ」を施術する前後に専門セラピストからもアンケート調査の協力が得られるよう質問紙や「レイキ」の施術方法を検討中である。 4.研究代表者の役割遂行(1)研究計画書に基づき倫理審査申請、調査協力依頼書や質問紙、承諾書等の作成については、作成途中である。(2)調査協力者への依頼(海外の補完代替医療の現状把握及び翻訳、専門セラピストによるレイキ施術手順、データ入力等)や事務手続等の連絡調整を適宜する。(3)平成28年度の報告書を作成した。 5.研究の方向性を深め次年度に向けて研究代表者・連携研究者・研究協力者間で会議を実施した。また、学会やシンポジウムに参加することで、適宜、研究の内容や方向性を確認して進めている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
1.「レイキ」のがん患者への活用に関する研究実施に向けた事前準備として以下の内容を推進方策とする。(1)国内の文献では「レイキ」の医療での活用の実際に関する報告がないため、文献検討を継続する。また著書による情報収集も継続する。(2)国外の文献検討では「レイキ」と「がん患者」をキーワードとして「レイキ」の活用の実際やその効果を調べるとともに、研究方法の妥当性や信頼性についても検討する。(3)国外のがん患者への「レイキ」の活用の現状についても継続して情報を得ていく。(4)「レイキ」の効果に関する測定用具の検討を継続する。客観的評価の指標となる測定用具の検討では、計測時の負担の有無、器具の信頼性・妥当性、予算面では購入またはリースの検討、確立された評価スケールの活用を検討、主観的評価の指標となる質問紙調査用紙を作成する。(5)専門セラピストと協同で「レイキ」施術の手順や実施場所等を検討する。(6)専門セラピストの意向や調査対象への倫理的配慮から、先ず「健康な人」を対象にレイキを施術して測定用具や測定方法・内容等の安全性や可能性、適正を検討した後に、「がん患者」へ施術することとした。新たに「健康な人」を調査対象者として追加・修正する。(7)医師からの紹介と承諾が得られる「がん患者」の選定について、具体的な依頼先を検討し協力依頼をする。(8)研究計画書の作成では、「レイキ研究」がランダム化されていない点を指摘(ルース2014)している現状や国外文献レビューを加味して、研究方法や研究スタイルの検討を行い客観的・主観的評価方法を選択することで「レイキ」の効果と安全性を保持できるよう留意する。また「レイキ」の効果と安全性に関する結果を提示することで「レイキのがん患者への活用」が実現できるよう臨床研究に着手できるよう準備する必要がある。
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Causes of Carryover |
がん専門病院のがん専門医師を対象に、補完代替医療の活用への意識と実態を明らかにすることを目的とし調査研究を実施する予定であったが、「がん患者へのレイキの効果」に関する研究を優先に進めた為未実施である。その為、質問紙調査の郵送料金と謝礼金が未使用となっている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究課題の中心である「がん患者へのレイキの効果」に関する研究を優先に遂行し、平成29年度~平成30年度にかけて「がん専門病院のがん専門医師を対象に、補完代替医療の活用への意識と実態に関する調査研究」を実施する予定である。その際に、質問紙調査郵送料、謝礼金を使用する予定である。
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Research Products
(1 results)