2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K16008
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Research Institution | Takachiho University |
Principal Investigator |
大久保 文哉 高千穂大学, 経営学部, 准教授 (40608824)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 化学反応オートマトン / 計算モデル / 分解理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、これまでの研究で開発してきた化学反応系の計算モデルである化学反応オートマトン(CRA)について、決定性計算の性質を明らかにし、化学反応系の設計手法の開発に貢献することである。CRAは、化学反応系における反応系列の性質を明らかにするため、多重集合書き換え系による言語受理モデルとして定義されている。CRAの決定性計算の性質を明らかにすることは、計算理論・化学反応設計論の両側面から重要な課題である。 2018年度は、望ましい挙動の実現するCRAの合成・分解を実現するためのアルゴリズムについて考察を行った。従来の計算理論において、入力とそれに対応する出力を規定した”変換器”に関する多くの研究結果の蓄積がある。そこでの結果とCRAとの比較や応用を目指すため、まず、CRAに出力機能を付加した化学反応変換器(CRT: Chemical Reaction Transducer)を定義した。 CRTを2つのCRTに分解する手法の1つとして”Serial decomposition”を定義した。ここでは、片方のCRTの出力をもう一方の入力として受け取ることで、2つのCRTを接続し、元のCRTの振る舞いを1ステップごとに模倣することを要求している。また、CRTがSerial decompositionできるための十分条件を示した。 また、1ステップごとの模倣は要求せず、入出力が元のCRTと一致するような分解手法をCRTの”Factorization”として定義した。ここでは、任意のCRTがpartially balanced languageという単純な構造を含むような変換器にFactorizationできることを示している。 これらの結果は前年度の結果と合わせて、学術雑誌 “Theoretical Computer Science” (Elsevier)に掲載が決定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度の報告で示した「今後の研究の推進方策」において示した、望ましい挙動を実現するCRAの合成・分解のための理論の構築について、必要な枠組みを構築し、それらの性質の一部を解明することができた。しかし、これらの決定性モデルにおける性質についてはまだ明らかにすることができていない。また、分解においてどれだけCRTが簡素化することができるかを考察することも、今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度においては、CRA・CRTの合成・分解理論において決定性モデルの性質を明らかにする。また、CRAの理論におけるモデルの複雑さを比較するための尺度を導入し、合成・分解においてモデルの複雑さがどのように変化するかについても検討を行う。これらにより、望ましい挙動を実現するCRAを効率的に合成するための理論を模索する。
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Causes of Carryover |
当初より参加予定であった国際会議The 22nd International Conference on Developments in Language Theory (DLT 2018)の開催地が日本であったため、想定していた旅費の金額を下回った。本研究は次年度で最終年であるため、年度前半における情報収集、年度後半における研究成果発表のための旅費として使用していく予定である。
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Research Products
(3 results)