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2020 Fiscal Year Research-status Report

化学反応オートマトンにおける決定性計算の研究

Research Project

Project/Area Number 16K16008
Research InstitutionNihon Pharmaceutical University

Principal Investigator

大久保 文哉  日本薬科大学, 薬学部, 准教授 (40608824)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2022-03-31
Keywords化学反応オートマトン / 分解 / 文脈自由文法
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、これまでの研究で開発してきた化学反応系の計算モデルである化学反応オートマトン(CRA)について、決定性計算の性質を明らかにし、化学反応系の設計手法の開発に貢献することである。
2020年度はこれまでの総括として、化学反応オートマトン(CRA)およびその前身の計算モデルである反応オートマトン(RA)について、総括を行い、サーベイ論文としてまとめた。RAモデルは、単純なモデルであるCRAに反応抑制物の機能を付与したものであり、CRAと比較することで、多重集合書き換え系における禁止文脈の及ぼす影響を考察した。また、本研究で扱った対象である、決定性・可逆性CRAモデルやCRAの合成・分解の理論に関しても、比較と考察を行った。このサーベイ論文は、比較的新しい国際学術雑誌Journal of Membrane Computingに掲載された。
また、トラディショナルな計算モデルとして重要である文脈自由文法CFG(また、等価なモデルであるプッシュダウンオートマトン)と化学反応系の関係の考察を行った。これまでの研究から、単純に分子数を考慮したモデルでCFGを模倣することは難しいことが示唆されていたため、分子を文字列という構造を持った対象としたときのモデルについて考えた。特に、文字列における挿入演算と、他の言語とのL-reductionという演算を通して、CFGを特徴付けられることを示した。この結果が、分野内において著名な国際学術雑誌であるTheoretical Computer Scienceに掲載された。
現在は、CRAに対して様々な機能を付与することでCFGやチューリング機械を実現するための方法や、CRAのある尺度における複雑さを制限することで得られるモデルについてその性質を模索している。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

コロナウイルス流行の影響に加え、研究代表者が2021年度に研究機関を再度変更したことで、研究推進・発表等の計画に遅延が生じたため、当初の計画を延長した。当初の予定であった研究の総括とその外部への発表については、国際学術雑誌にサーベイ論文を掲載し、発表することができている。
また、前年度の研究の推進方策に記載した文脈自由文法とCRAを包括するような計算モデルの構築については、元来のCRAモデルとはやや異なるモデルではあるものの、分子を文字列として表現したモデルにおいて文脈自由文法を模倣することができた。

Strategy for Future Research Activity

以下の2つの方針で研究を推進していく。
1つはCRAに対して様々な機能を付与することで、文脈自由文法やチューリング機械などの既知の計算モデルを実現するための方法について検討する。形式文法理論においては制限付き書き換えモデルの研究成果の蓄積があるため、これらをうまくCRAに適用できるように、モデルを修正することを考える。
もう1つは、CRAのある尺度における複雑さを制限することで得られるモデルについてその性質を模索する。これは、文脈自由文法などの既知の計算モデルとの比較に加え、前年度の研究成果であるCRAの合成・分解の理論への応用を探究する上で重要である。

Causes of Carryover

コロナウイルス流行の影響が今年度も治らなかったことにより、国内学会や国際会議への参加はなく、当初計上していた2020年度での海外出張経費を執行することができなかった。 また、研究代表者が2021年度に研究機関を変更したため、その準備を含む業務によって、研究推進・発表等の計画に遅延が生じたため、当初の計画を延長した。次年度の予算は、論文発表準備における英文校正等の経費や、状況が許せば学会への出張費等に充てる予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2021

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results)

  • [Journal Article] Theory of reaction automata: a survey2021

    • Author(s)
      Yokomori Takashi、Okubo Fumiya
    • Journal Title

      Journal of Membrane Computing

      Volume: 3 Pages: 63~85

    • DOI

      10.1007/s41965-021-00070-6

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] On the computing powers of L-reductions of insertion languages2021

    • Author(s)
      Okubo Fumiya、Yokomori Takashi
    • Journal Title

      Theoretical Computer Science

      Volume: 862 Pages: 224~235

    • DOI

      10.1016/j.tcs.2020.11.029

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2021-12-27  

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