2022 Fiscal Year Annual Research Report
Deterministic computation in chemical reaction automata
Project/Area Number |
16K16008
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大久保 文哉 九州大学, システム情報科学研究院, 准教授 (40608824)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 化学反応オートマトン / 決定性 / 多重集合書き換え系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、これまでの研究で開発してきた化学反応系の計算モデルである化学反応オートマトン(CRA)について、決定性計算の性質を明らかにし、化学反応系の設計手法の開発に貢献することである。CRAは、化学反応系における反応系列の性質を明らかにするため、多重集合書き換え系による言語受理モデルとして定義されている。CRAの決定性計算の性質を明らかにすることは、計算理論・化学反応設計論の両側面から重要な課題である。 最終年度は,CRAにおけるモデルの複雑さを表す尺度を定義し,それを制限することで得られるモデルについてその性質の探索を行なった.具体的には,CRAのバックグラウンド集合の最大要素数をk>0に制限した場合に受理される言語クラスについて,検討を行なった. 研究期間全体において得られた主要な成果は以下のものである.(1)多重集合書き換え系による化学反応系の計算モデルである化学反応オートマトン(CRA)における決定性及び可逆性の定義方法の確立と,その計算能力の解明.(2)決定性CRAにおける空文字遷移の性質の解明.特に従来のモデルと多重集合書き換え系モデルにおける空文字遷移の性質の違いを示した.(3)多重集合書き換え系モデルの合成と分解に関する性質を調べるため,CRAに出力機能を付与した化学反応変換器(CRT)を提案した.またCRTを分解するための条件と分解する手法を示し,ある尺度においてモデルの複雑さを削減できることを示した.(4)既存の形式言語理論における結果との比較や知見の導入のために,CRAと等価な形式言語モデルであるChemical Reaction Regular Grammar(CRRG)を提案し,その性質を明らかにした.
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