2016 Fiscal Year Research-status Report
ソーシャルメディアにおける学術文献言及量予測モデルの構築
Project/Area Number |
16K16155
|
Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
吉田 光男 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60734978)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | オルトメトリクス / 計量書誌学 / 研究評価 / 学術情報流通 / ソーシャルメディア |
Outline of Annual Research Achievements |
ソーシャルメディアによる言及をもとにした,新たな学術文献評価指標を開発することを目指し,本年度は主に,(1)データ収集範囲の拡張,および,(2)言及要因の調査,を行った。 (1)については,主要な大学の機関リポジトリを追加するなど,対象とする文献データベースの範囲を広げた。また,より多くの学術文献に対する言及を取得できるよう,収集対象とするソーシャルメディアの範囲を広げた。 (2)については,日本の学術文献を対象とした言及要因の調査を行い,次に述べる知見などを得た。まず,ソーシャルメディアで言及されている日本の学術文献は1.0%~2.2%程度であり,日本国外を対象とする従来の調査結果(10%~20%程度の文献が言及される)よりも小さな値であった。また,様々なソーシャルメディアのうち, Twitterからの言及量がほかよりも著しく多かった。そして,従来の調査結果と異なり,本研究で作成したデータにおいては,ソーシャルメディアでの言及量と論文出版年との関係は見いだせなかった。最後に,理工学系の論文よりも人文社会学系の論文の方が,ソーシャルメディアでよく言及されることが明らかになった。 以上のほかにも,ソーシャルメディアの言及を利用するためのデータ分析を進め,ソーシャルグラフの構築方法を変えることにより,実際の友人関係に近づけることができることが明らかになった。また,情報の伝搬特性についても調査し,一部のユーザが拡散に大きく寄与していることを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はデータ収集範囲を拡張し,言及要因の調査を目標としており,この調査結果は学術雑誌で公表した。よって,おおむね順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度の調査により,ソーシャルメディアでの言及量と論文出版年との関係に関して,これまでに報告されている調査結果と異なる結果を得た。これまでに利用されてきたデータ(本研究で作成したデータと異なるデータ)に不備があることが示唆されており,まずは,この点をより詳細に調査する。そして,ソーシャルメディア上における情報の拡散経路に着目した言及量予測モデルの構築に取り組む。
|
Causes of Carryover |
スケジュールの都合などにより,予定していた国内外の研究集会への参加経費(参加費・旅費)を執行しきれなかったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
言及量の予測モデルを構築するための分析用計算機の購入を予定している。また,分析対象データの品質を上げるため,データ整理のための人件費に充当する。
|
Research Products
(7 results)