2016 Fiscal Year Research-status Report
引用ネットワークのコミュニティ分析による研究分野の時間発展の解明
Project/Area Number |
16K16165
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
高口 太朗 国立研究開発法人情報通信研究機構, ユニバーサルコミュニケーション研究所情報利活用基盤総合研究室, 研究員 (30709465)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 引用ネットワーク / ネットワーク分析 / グループ構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、以下の通り研究を行った。まず、本研究開始までに研究に着手していたネットワークにおけるグループ抽出手法を引用ネットワークに特化させるよう改良を行った。次に、改良した手法を複数の実際の引用ネットワークデータに適用し、グループ構造についての統計的分析を行った。その結果として、本手法が論文タイトルに含まれる語句の意味でグループ構造を捉えていることを確認した。また、研究分野ごとの特徴的な引用パターンについてもその存在を示唆する結果を得た。さらに、研究分野によらず複数の引用ネットワークデータに共通して現れる構造的な性質を見出した。これらの成果には下記2つの意義がある。1つは、提案の手法が引用ネットワークから意義のあるグループ構造を抽出できることを確認したことである。もう1つは、既存の研究分野分類やキーワードなどによらず引用関係のパターンにもとづいて研究分野や研究トピックを推定できる可能性を示したことにある。特に後者は、研究分野の融合と学際化が進む現状において研究分野の動向を客観的にとらえる1つのアプローチとして重要である。これらの研究成果については国内学会において発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画の通り、引用関係ネットワークに特化したグループ構造抽出方法を考案し、現実の引用甘寧ネットワークデータに適用してその精度を論文タイトル等の付加情報を用いて検証することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に沿って、抽出したグループ構造の時間発展についての分析と理論モデル化を行う。前年度に得られた研究結果を利用し、データ中の時刻を進めながら提案手法を適用することにより、グループ構造の時間発展についての統計情報を得る。その上で、グループサイズ(論文数)、グループの持続時間、他の研究分野との競合を考慮した理論モデル化を行う。モデルの妥当性については既知データの一部を用いた交差検証により検証する。
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Causes of Carryover |
2016年度からの研究機関異動に伴い計算機等の物品購入に時間を要することが予想されたため、研究の進展を優先し物品購入は見送った。予定していた情報収集のための国際会議海外出張については、同じ会議に別の予算の研究成果発表のため参加したため、本科研費からは経費を支出しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は昨年度の研究結果に基づいてより大規模な数値計算が必要となると予想されるので、計算のためのデスクトップ PC 1台を購入する。昨年度までの研究結果と合わせて、海外国際会議に参加し研究成果発表を行う。
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Research Products
(2 results)