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2016 Fiscal Year Research-status Report

エピジェネティック情報に基づく化学物質による脂肪細胞肥大化のリスク評価

Research Project

Project/Area Number 16K16193
Research InstitutionUniversity of Miyazaki

Principal Investigator

新井 良和  宮崎大学, 農学部, 助教 (90614769)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2018-03-31
Keywordsエピジェネティクス / DNAメチル化 / 前駆脂肪細胞 / 肥満
Outline of Annual Research Achievements

生活習慣病の原因の1つである肥満は大きな社会問題であり、最近では子どもの肥満も知られている。これまで肥満研究の多くは栄養学的側面から進められてきた。ただし、近年の疫学調査から、胎児が母体内で有害な化学物質に曝された影響が出生後も続き、肥満の原因となる脂肪細胞の肥大化に繋がる危険性が報告されている。本研究では細胞の発生・分化に関わることが明らかとされているエピジェネティック制御に着目して、母体環境中から検出される化学物質が脂肪細胞肥大化を引き起こす危険性を評価する。
本年度(H28年度)は化学物質のリスク評価のための研究基盤として、ブタ脂肪組織、およびブタ前駆脂肪細胞と分化誘導させた成熟脂肪細胞の遺伝子領域におけるエピジェネティック情報の取得を行った。ブタで解析可能な、脂肪細胞の発生・分化に関わる約150個の遺伝子群を抽出し、次世代シークエンサーを用いたバイサルファイトシークエンスで細胞・組織のDNAメチル化状況を解析した。シークエンス解析の結果、脂肪組織と他組織の間でメチル化状況が異なる39個の遺伝子領域を同定した。さらに、脂肪分化過程におけるエピジェネティック変化を解析するために、体外での脂肪細胞分化系を用いてブタ前駆脂肪細胞を成熟脂肪細胞へ分化させ、分化前後におけるDNAメチル化状況を解析した。解析の結果、脂肪細胞への分化過程でDNAメチル化状況が変化する12個の遺伝子領域を同定した。本年度(H28年度)の研究より、ブタ脂肪細胞分化におけるエピジェネティックデータベースを構築することができ、次年度解析予定の化学物質による脂肪細胞の肥大化に伴うエピジェネティック変化を検証するための研究基盤が確立できた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

今年度(H28年度)は脂肪細胞・組織のエピジェネティック情報を取得し、次年度に解析予定の化学物質による脂肪細胞の肥大化に伴うエピジェネティック変化を検証するための解析基盤を構築することであった。ブタで解析可能な、脂肪細胞分化に関わる約150個の遺伝子群を抽出し、ブタ脂肪組織、およびブタ前駆脂肪細胞と分化誘導させた成熟脂肪細胞について、バイサルファイトシークエンスによるDNAメチル化解析を行った。次世代シークエンサーを用いた解析の結果、他の組織に比べて脂肪組織に特異的なDNAメチル化状況を示す39個の遺伝子領域を同定できた。さらに、脂肪分化過程におけるエピジェネティック変化を解析するために、体外での脂肪細胞分化系を用いてブタ前駆脂肪細胞を成熟脂肪細胞へ分化させ、次世代シークエンサーを用いたDNAメチル化解析を行った。解析の結果、分化前後でメチル化状況が変化する12個の遺伝子領域を同定できた。本年度(H28年度)の研究より、エピジェネティック制御を受け、化学物質の標的になりうる遺伝子領域を特定できた。これらの情報を元に脂肪細胞分化におけるエピジェネティックデータベースを構築でき、来年度解析予定の化学物質による脂肪細胞肥大化のリスク評価を行うための研究基盤を構築できた。以上の理由より、研究はおおむね順調に進展していると判断した。

Strategy for Future Research Activity

次年度(H29年度)は、化学物質による脂肪細胞の肥大化に伴うエピジェネティック変化を明らかにして、母体環境中から検出される化学物質が脂肪細胞の肥大化を引き起こす危険性についてエピジェネティクスを指標に検証する。研究代表者がこれまでにマウス/ヒト多能性幹細胞の解析で同定した、エピジェネティック状況を乱す数種類の化学物質を前駆脂肪細胞に単独、または複合暴露する。さらに、前年度(H28年度)に確立した脂肪細胞分化におけるエピジェネティックデータベースを元に、化学物質暴露によってエピジェネティック変化が生じる遺伝子領域を同定する。解析手法として前年度に引き続き、網羅的なエピジェネティック解析を用いる。さらに、体外での脂肪細胞への分化系を用いて、化学物質暴露によるエピジェネティック状況への長期的な影響を検証する。方法として、化学物質暴露を3つの実験区((1)分化前から脂肪分化後、(2)分化前のみ、(3)脂肪分化後のみ)で行い、どの細胞分化過程における化学物質暴露が脂肪細胞肥大化を引き起こす危険性を増加させるのか、分化後における脂肪細胞の染色によって解析する。これらの解析を元に、脂肪細胞の肥大化に関連する遺伝子群、および長期的な化学物質暴露による脂肪細胞肥大化への影響を明らかにする。次年度(H29年度)の研究より、母体環境中から検出される化学物質が、生体暴露状況に近い濃度で脂肪細胞肥大化を引き起こす危険性を評価することができ、さらに、得られた結果を化学物質暴露による脂肪細胞肥大化の分子メカニズムの解明に繋げていく。

Causes of Carryover

今年度はブタ前駆脂肪細胞の培養と、脂肪細胞・組織のエピジェネティックデータベースの構築が主な目的であった。ブタ初代培養やエピジェネティック解析について、研究代表者はすでに多くの研究実績があり、当初の予定よりも試薬や培地を節約することができた。故に研究費の一部をH29年度に繰り越すこととした。

Expenditure Plan for Carryover Budget

次年度(H29年度)は次世代シークエンサーを用いたエピジェネティック解析を中心に行う予定である。H28年度より繰り越した研究費は、使用頻度が高くなることが予想される、次世代シークエンサー解析用のライブラリ調整キットや酵素などの試薬購入に補填する予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2017 2016

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results,  Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (2 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] Establishment of DNA methylation patterns of the Fibrillin1 (FBN1) gene in porcine embryos and tissues.2017

    • Author(s)
      Arai Y, Umeyama K, Takeuchi K, Okazaki N, Hichiwa N, Yashima S, Nakano K, Nagashima H, Ohgane J
    • Journal Title

      J Reprod Dev.

      Volume: 63 Pages: 157, 165

    • DOI

      10.1262/jrd.2016-158.

    • Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
  • [Presentation] ハプロ不全優性遺伝病の発症機序解明に向けた新たなアプローチ:ブタフィブリリン1 (Fbn1)のエピジェネティック解析2016

    • Author(s)
      新井良和、梅山一大、竹内健太、八島紗耶香、中野和明、長嶋比呂志、大鐘潤
    • Organizer
      第109回日本繁殖生物学会大会
    • Place of Presentation
      神奈川県
    • Year and Date
      2016-09-11 – 2016-09-15
  • [Presentation] エピジェネティクスによる遺伝病発症機序解明への新たなアプローチ2016

    • Author(s)
      新井良和
    • Organizer
      明治大学・聖マリアンナ医科大学共同研究会
    • Place of Presentation
      神奈川県
    • Year and Date
      2016-05-14 – 2016-05-14
    • Invited

URL: 

Published: 2018-01-16  

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