2017 Fiscal Year Research-status Report
現代インド・英国のカーストとダリト運動をめぐるグローバル化の重層的展開
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16K16659
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
鈴木 真弥 東京外国語大学, その他部局等, 研究員 (30725180)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 南アジア / インド / カースト / ダリト運動 / グローバル化 / 移民 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、計画通り、①インド・英国における文献収集と分析、②インド・英国での現地調査、③国際会議での研究報告、④英語論文の出版を実施することができた。まず、インド(デリー)では、引き続き、ダリト運動(とくに弁護士指導層による訴訟活動)の最新動向を把握するために、文献調査のほか、聞き取りと参与観察を行なった。英国(ロンドン、バーミンガム他)では、カースト差別の禁止を含むEquality法成立を求めて活動している社会活動家や研究者に面会し、法案成立が遅れている政治・社会背景をの情報を収集した。インドと英国をつなぐダリト運動のネットワーク形成についても、聞き取りを行い、活動家たちの定期的な渡印状況とバールミーキの寺院建設にかかわる訴訟問題をめぐってインドの国会・州議会議員と交渉手続きを行なっていることも明らかになった。 これらの調査活動が進展したことをふまえて、新たなテーマとして、日本(横浜)に居住するダリト移民とその運動についても予備調査を開始することができた。ダリト移民のネットワークが拡大していることを示唆する事例で、今後も検討していきたい。 成果としては、インドのダリト運動に関する英語論文を刊行し、さらに、2017年7月にタイ・チェンマイで開催されたアジア研究者学会(ICAS)では英国調査の成果を発表した。2018年1月にネパール・カトマンドゥで開催されたNIHUプログラム南アジア地域研究国際シンポジウムにおいて、インド調査の成果の一部を発表した。会議で得たフィードバックを今後の研究活動で検討していきたい。次年度以降は、計画していた欧米学会での発表と英語論文の投稿を強化していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書で示した【主題B】「ダリト運動の『多様化』『個別化』を現地調査と文献調査から検討し、成果の一部を英語論文としてまとめることができた、また【主題D】「グローバル化がインド国賠のダリト運動、人々のカースト意識に与える変化」について、インドとイギリスで計3回の現地調査を行い、情報収集と分析を進めることができた。これらの進展をうけて、2件の国際会議で成果発表を行なうことが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの調査成果に依拠して、今後も、現地調査と資料収集・先行研究の分析を行う。それをふまえた成果の発表と英語論文の刊行を試みる。調査先で助言をうけた研究者と共同研究の可能性についても模索していきたい。
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Research Products
(6 results)