2018 Fiscal Year Research-status Report
現代インド・英国のカーストとダリト運動をめぐるグローバル化の重層的展開
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16K16659
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
鈴木 真弥 東京外国語大学, 南アジア研究センター, 特任研究員 (30725180)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 南アジア / インド / カースト / ダリト運動 / グローバル化 / 移民 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に続いて、2018年度もインドとイギリスにおける①文献収集と分析、②現地調査、③成果発表として英語論文の刊行を進めることができた。 ②現地調査について、8月のイギリス調査では、バーミンガムを中心に、南アジア系住民の居住区訪問と移民第一~第三世代のライフヒストリー聞き取り調査、カースト団体活動の拠点となる寺院の参与観察を引き続き行なった。さらに新たな調査先として、ラヴィダーシアのコミュニティテレビ局(Kanshi TV)を訪問し、設立の経緯や活動内容について主要メンバーから聞き取りを実施した。ラヴィダーシアはダリト移民の反カースト運動において最も影響力を持つコミュニティのひとつである。後進のヴァールミーキとの比較において、また今後のダリト運動全体の展開を検討するうえでも重要と考えられる。 3月のインド調査では、デリーで公益訴訟に関する参与観察と現地研究者(Prof. Upendra Baxi)との意見交換を進めることができた。加えて、アムリトサルでは自治体清掃人居住区を訪問し、清掃人のカースト構成や経済状況に関する情報を収集した。イギリスのヴァールミーキ移民とのつながりとして、アムリトサルのヴァールミーキ詩聖崇拝と寺院建設の活動を把握することは重要な調査テーマと考え、今後も継続して調査を行いたい。2016年、アムリトサル市内に建立された巨大なヴァールミーキ寺院は、インド国外に居住するヴァールミーキ移民のアイデンティティ形成においても重要な存在となっていることが明らかになった。 2018年度の③成果発表として、本研究課題の【主題B(ダリト運動の「多様化」と「個別化」の傾向をバールミーキの事例から考察)】に関する英語論文を刊行した。また、2019年にオランダで開催されるアジア研究者学会(International Convention of Asia Scholars、ICAS)のパネル発表に応募し、採択された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書で示した【主題B(ダリト運動の「多様化」と「個別化」)】の成果の一部を、英語論文として刊行することができた。その他のテーマについても、次年度以降で国際学会や英語論文の形で随時発表していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの調査状況にもとづき、引き続き、インドとイギリスの現地調査、文献収集・分析、および成果発表(国際学会、査読付き英語論文を中心に)を進める。可能性を探っている段階ではあるが、インド、イギリスの研究者との今後の共同研究について、意見交換を行なっている。
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Causes of Carryover |
当初予定していた研究会参加の旅費を別経費から支出することができたため。
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Research Products
(6 results)