2017 Fiscal Year Annual Research Report
How does France narrate its colonial past in Algeria?: Reviewing policies from the 1990s
Project/Area Number |
16K16667
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大嶋 えり子 早稲田大学, 政治経済学術院, 助手 (90756066)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | フランス政治 / アルジェリア / 植民地支配 / 記憶 / 戦争 |
Outline of Annual Research Achievements |
なぜフランスの政府や自治体が1990 年代以降になってから、アルジェリアの植民地支配 (1830-1962) および独立戦争(1954-1962) に関連する記憶(以下、アルジェリア関連の記憶)を承認するようになったのか、そして、アルジェリア関連の記憶の承認において国家の責任がどう捉えられているのかを明らかにすることを目的とした研究である。 以上の目的を掲げ、2017年度は、国家レベルにおける記憶の承認の取り組みについて検討した。具体的にはフランス国立図書館(Bibliotheque Nationale de France, BNF)が所蔵している引揚者の団体による刊行物などを調査し、どういった活動を行っているのかを考察した。その結果、植民地支配におけるフランスの責任を認めることはなく、むしろ被害者として自己認識し、引揚者に対する国家としての責任を追及する姿勢が見られた。ただし、引揚者は一枚岩ではなく、「進歩的」と称する引揚者も結社を行っており、植民地責任を認める姿勢を見せていることには留意する必要がある。 また、アルジェリアの植民地支配や独立戦争に関わる主要政治家の演説などを検討し、右派・左派に認識の違いがあるのかどうかを考察した。その結果、右派・左派では必ずしもアルジェリアに対する姿勢を区別できないことが明らかになった。植民地支配を肯定する言説に反対する市民団体が左派寄りであることが明らかなのに対して、必ずしも左派政党(主に社会党)の政治家が植民地支配の責任を国家に帰す主張をしているとはいえず、むしろ植民地支配に肯定的な態度を示すことがある点は注目に値する。
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Research Products
(2 results)