2017 Fiscal Year Research-status Report
江戸時代中期の女流文学者荒木田麗女の歴史物語・連歌作品研究
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16K16757
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
雲岡 梓 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (30732888)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 荒木田麗女 / 歴史物語 / 月の行衛 / 神宮文庫 / 尚女 / 三の友 / 史籍集覧 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は妊娠による体調不良、および出産後の育児のため、予定していた研究を遂行することができなかった。予定していた大学図書館・文庫・伊勢においての現地調査、学会・研究会への参加、資料収集等を行うことはできなかった。そのため、本年度は予算執行は行わなかった。「産前産後の休暇又は育児休業の取得に伴う補助事業期間延長承認申請」を行い、研究計画を一年間延長する手続きを取った。 論文「神宮文庫所蔵本『月の行衛』(中巻・下巻)の翻刻」(『日本文藝研究』69巻1号、2017年10月)を発表したことが本年度唯一の成果である。本論文は、荒木田麗女の歴史物語『月の行衛』について、多数の写本の中から最も信頼性の高い本文を特定し、翻刻を行ったものである。神宮文庫所蔵本『月の行衛』は、麗女の甥荒木田興正が『池の藻屑』『月の行衛』を豊宮崎文庫に奉納するにあたり、その妻の尚女が文化七年に筆写したものである。なお、本居宣長記念館所蔵の興正宛「荒木田麗女消息」に、麗女が尚女に直接『月の行衛』を貸し出したことが記されているため、尚女が筆写した『月の行衛』は麗女自筆の原本と考えて間違いない。現在『史籍集覧』『校註国文叢書』『女流文学全集』『校註日本文学大系』等に活字化されている『月の行衛』本文は、数度の転写を経た本文をもとに翻刻を行ったものであり、麗女自筆本とは異同が生じていると考えられる。今回再善本の翻刻を行い、信頼性の高い本文を公開できたことは、麗女の歴史物語研究に寄与するだろう。また、書名『月の行衛』の意味について考察を加えた。『月の行衛』が「遠い昔の人々の動向を追いかけて明らかにし、物語に書くこと」を象徴する名であると同時に、四鏡の「鏡」と同じく「歴史を明らかに映し出すもの」という意味を持つことを論じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2017年2月頃から5月頃まで、妊娠中の体調不良のために論文執筆等の研究活動を行うことができなかった。6月から9月末の出産までの期間、体調は安定したが、安静にしなければならなかったため、予定していた伊勢における調査活動、大学図書館等での資料収集、学会参加等ができなかった。出産後は育児のため、研究活動を行うことができなかった。論文「神宮文庫所蔵本『月の行衛』(中巻・下巻)の翻刻」(『日本文藝研究』69巻1号、2017年10月)を発表したことが本年度の唯一の成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度、妊娠・出産により予定していた研究計画を遂行できなかったため、「産前産後の休暇又は育児休業の取得に伴う補助事業期間延長承認申請」を行い、研究計画を一年間延長する手続きを取った。2018年度から研究に復帰したため、2017年度の研究計画を一年間後ろ倒しして遂行する方針である。
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Causes of Carryover |
妊娠中の体調不良・出産後の育児のために、本年度は予定していた研究活動を遂行することができなかった。特に、現地調査、資料収集活動、学会・研究会参加を行うことができなかったため、予算執行を行わなかった。「産前産後の休暇又は育児休業の取得に伴う補助事業期間延長承認申請」を行い、研究計画を一年間延長する手続きを取った。
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Research Products
(2 results)