2016 Fiscal Year Research-status Report
沖縄県離島地域在住外国人等への日本語支援に関する基礎的調査研究
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16K16862
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
渡真利 聖子 琉球大学, グローバル教育支援機構, 講師 (20700305)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 地域在住外国人 / 生活者としての外国人 / 地域日本語支援 / 日本語教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、沖縄県離島地域に適した外国人等に対する日本語支援について考察することを目標に、初年度である28年度は、(1)調査地における在住外国人等の数と様相、(2)彼らに対する日本語支援について調査を実施した。具体的には、宮古島、来間島、多良間島の3つの調査地にて在住外国人等及びその関係者への聞き取り調査、資料収集を行なった。それらの調査結果について、平成29年3月に琉球大学で開催された沖縄県日本語教育研究会第14回大会にて口頭発表を行なった。 調査地域における在住外国人等12名、日本人関係者12名(配偶者、親類、教育機関関係者、市役所・村役場職員、地域住民)に対して実施した聞き取り調査から、当該地域における在住外国人の出身地域別の数と時系列的変化、その背景、在住外国人等の日本語習得・学習状況、地域の日本語支援状況が見えてきた。当該地域在住外国人の約半数は女性のフィリピン、ベトナム出身者が占めており、今年度の在住外国人等に対する聞き取り調査もこの2ヶ国出身者を中心に行なった。その結果、彼らのほとんどが日本語力及び在住地域の生活環境に関する知識をもたないまま、結婚を機に移住し、日常生活の中で家族や地域の日本人との関わりによってある程度の口頭による日本語コミュニケーション力をつけてきた者が多いことがわかった。言語支援の面では、沖縄県宮古地域には外国語としての日本語の教育機関がなく、行政側も外国人等への支援の方策を主導する人的リソースが不足している状況が窺えた。次年度はこれらの側面に関して、直接聞き取りを行えない宮古地域在住外国人等や関係者・関係機関も含めて、調査票による量的調査を実施する予定であるため、その準備として、聞き取り調査の内容をもとに調査項目の作成を開始した。また、次年度も引き続き聞き取り調査を進めていくため、調査への協力依頼や被調査者の所在の確認を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査票の作成について、すでに当該地域で実施されている宮古島市社会福祉協議会による「宮古島在住外国人アンケート調査」の結果の情報共有の方法及び調査協力体制を調整の上、実施する必要が生じたため、28年度に予定していたパイロット調査の実施は次年度に繰り越すことになったが、資料収集、聞き取り調査の被調査者が計画よりも多く得られたことにより、(1)調査地における在住外国人等の数と様相の整理、(2)地域在住外国人等に対する日本語支援環境の実態調査はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度は、まずは調査票作成のため、前年度の調査資料の整理を行なうとともに、ベトナム、フィリピン出身者以外の在住外国人等、宮古島・来間島・多良間島以外の在住外国人等への聞き取り、日本人関係者への聞き取りも引き続き行なう。そこから見えてくる宮古地域在住外国人等を取り巻く生活環境の状況をもとに、在住外国人等に対する調査票、日本人関係者に対する調査票を作成し、現地の関係機関や調査協力者と調整・検討の上、調査票による調査を実施する。在住外国人等に対する調査では、移住の背景、日本語習得状況、日本語生活環境、日本語支援に関する要望に関してのデータ収集を目的とする。日本人関係者に対する調査では、在住外国人との関わり、在住外国人に対する意識、在住外国人等への言語支援に関するデータの収集を目的として実施する予定である。また、研究成果について関係学会等にて発表、論文の投稿を行なう。
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Causes of Carryover |
今年度実施予定であった調査票作成が次年度に持ち越したため、調査票作成の際の翻訳及び調査票の送付が実施されなかったこと、また聞き取り調査の際の通訳が今年度においては必要なかったこと、現地調査の際のレンタカー代が予定より安くおさえられたことにより、それらに充てる助成金が未使用となり、29年度に繰り越された。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
持ち越された調査票作成、及び調査票による調査を実施し、当初の予定通り、それにかかる翻訳の人件費、調査票の送付費として使用する。また、来年度は通訳を必要とする被調査者への聞き取り調査も予定しているため、その際の通訳の人件費に充てる。
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