2017 Fiscal Year Research-status Report
沖縄県離島地域在住外国人等への日本語支援に関する基礎的調査研究
Project/Area Number |
16K16862
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
渡真利 聖子 琉球大学, グローバル教育支援機構, 講師 (20700305)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 地域日本語支援 / 生活者としての外国人 / 地域在住外国人等 / 多文化共生 / 日本語教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、沖縄県離島地域の外国人等に対する日本語支援とその課題について明らかにすることを目的としている。2年目である平成29年度は、調査票による量的調査を実施すべく、調査票作成にとりかかった。また、前年度に引き続き、外国人等、日本人関係者への聞き取り調査も実施した。調査地を宮古島に絞り、これまで未調査であった国の出身の在住外国人等、及びその関係者に対して、聞き取り調査や資料収集等を実施した。具体的には、(1)前年度に引き続き、調査地における在住外国人等の数と様相についての最新情報(公的資料、人的情報源)の収集を行いつつ、(2)第2次聞き取り調査として、外国人等の生活環境、言語使用状況に焦点をあて、聞き取り調査だけではなく、彼らが参加する同郷コミュニティー等の活動にて参与観察を行なった。(3)在住外国人等が日常生活で遭遇する日本語使用場面に関して、医療機関関係者や児童福祉施設関係者、地域住民へも聞き取り調査を実施した。 宮古島在住の外国人等10名、日本人関係者8名(配偶者、親類、医療機関関係者、教育機関関係者、地域住民)に対して実施した聞き取り調査から、以下の点に関して当地域における特徴と課題の一部が見えてきた。社会的な面からは、「日本人の配偶者以外の外国籍住民の微増」、言語支援の面からは、特に「年少者に対する教育、進学の際に対応できる人的リソース不足問題」、「家族間から医療機関に至るまでの日常生活の様々な場面におけるITツールの利用とその限界」であった。次年度はこれらに関して、さらにフォローアップ調査を実施し、詳細なデータ収集、及び考察を進めていく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
聞き取り調査については順調に進展しているが、以下2点の状況より、総合的にやや遅れているとした。 1.被調査者のプライバシー保護に配慮する必要があるため、聞き取り調査データの文字化作業に時間を要しており、それに伴い聞き取り調査データの分析は十分であるとは言えない。 2.今年度実施予定であった調査票による量的調査に関して、沖縄県多文化共生推進調査事業による県在住外国人を対象とした調査が今年度実施されており、調査対象者及び調査内容が本研究調査と重複する点もあるため、本調査データの回収率に影響すると判断し、質問項目内容について再考するとともに、本調査時期も次年度実施に計画変更することにした。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、調査票による量的調査をできるだけ早い段階で開始する。併せて、これまでの調査活動においては順調に被調査者及び調査協力者等からの協力が得られているので、引き続き質的データの収集にも努める。年度前半までは第3次聞き取り調査として、年少者や外国出身者の雇用関係者にも焦点をあてフォローアップインタビューなどの質的調査を実施し、データの整理分析を迅速に進める。次年度は最終年度であるため、年度後半は、本研究調査の総括として、学会等での発表、論文執筆や報告書作成を中心に行う。
|
Causes of Carryover |
聞き取り調査データの文字化作業未実施分の人件費を次年度に使用する。また、今年度実施予定であった調査票による量的調査も計画変更により未実施のため、それにかかる経費(翻訳・通訳のための人件費、調査票の送付費)も次年度に繰り越す。一方、これまで実施された聞き取り調査では、被調査者及び調査協力者等の本調査への協力が比較的順調に得られており、聞き取り調査の謝礼費が当初の予算より安く抑えられいる。その分は、今後必要となるフォローアップ調査のための経費(旅費やレンタカー代等)に充てる予定である。
|