2019 Fiscal Year Research-status Report
地方都市商店街の誕生と終焉に関する民俗学的研究:1920-2020
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16K16961
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
塚原 伸治 茨城大学, 人文社会科学部, 准教授 (30735569)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 商店街 / 柳川 / アジア・太平洋戦争 / 柳川新報 |
Outline of Annual Research Achievements |
(商店街の展開期に関する研究)1945年前後の柳川商店街について調査を実施した。これまで、戦時中の商店街の様子について語ることができるインフォーマントにあまり恵まれてこなかったが、今年度の調査では1920年代から1930年代生まれの商店主にインタビュー調査を実施することができたため、史料『柳川新報』断絶期の商店街の様子について明らかとなった。特に、アジア・太平洋戦争末期から終戦直後にかけて、ほとんどの店が閉店に追いやられ、また、回復した店であっても多くが一時的に異なる業種に転業を余儀なくされていたことがわかった。それが元の業種に復帰するのは1948年頃のことである。戦前戦後の見た目の連続性と、実体としての不連続をここからは見出すことができる。
(商店街の終焉期に関する研究)一般的には大型ショッピングセンターの出店が商店街衰退の主たる原因として考えられがちであるが、実際には家族(あるいはイエ)についての考え方の変化や、自営業に関する価値観の変化など多くの要素が複合的に関係しており、数十年の長いスパンで商店街の衰退を捉える必要があることが明らかになった。
(商店街の現在に関する研究)2010年代後半にいちど「シャッター通り」となった柳川商店街において、ここ3年ほど新規出店が相次いでいることが明らかになった。この点については、本科研の研究計画では想定していなかった事態であるため、より詳細な調査・検討が必要とされている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の初期である2017年頃は、十分な調査期間をとることができなかったため、大きく出遅れることとなったが、その後は順調に現地調査を実施することができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
インタビューを中心とする現地調査を実施し、商店街の「終焉期」および現在に関して明らかにすることを目指す予定である。COVID-19の影響も予想されるため、調査方法を慎重かつ柔軟に検討したい。
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Causes of Carryover |
研究計画の前半において生じた現地調査の遅れにより、繰り越されてきた分に相当する次年度使用額が生じた。研究期間の延長が認められたため、2020年度の現地調査において使用する予定である。
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