2019 Fiscal Year Annual Research Report
Overcoming the Absence of Others in Modern Constitutionalism- How We can Reconstitute the Public through Totality and Infinity
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16K16982
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
江藤 祥平 上智大学, 法学部, 准教授 (90609124)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 憲法 / 公法 / 立憲主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度に当たる本年度は、研究成果を発信することに注力した。その一つが、全国憲法研究会における総会報告である。同報告では、昨年度に公刊した本研究の集大成ともいえる著書『近代立憲主義と他者』の内容を報告したところ、多くの参加者と建設的な質疑を交わすことができた。その質疑応答の様子と同報告は、学会誌である『憲法問題』(2020年5月刊行)でみることができる。また本年度は、ベトナムで開催された国際学会"Asian Constitutional Law Forum"において報告する機会を得た。そこでは特に、天皇制の問題に絞って日本の近代立憲主義の現状と問題点を報告したところ、こちらも多くの参加者から質問を得て議論を交わすことができた。その報告内容は、同学会の学会報告をまとめた"The 8th Asian Constitutional Law Conference Proceedings book"に掲載予定である。 さらに本年度は、著書『近代立憲主義と他者』の中では触れられなかった各論的な問題について、積極的に論文発表を行うことができた。その一つが「代表制―再現なき時代に」と題する論文である。同論文は、代表者と被代表者の間に対応関係を要求する従来の代表観とは異なり、代表に高次の理念の実現を求める「再現」という観念から、国民統合の問題を論じたものである。もう一つが「権利/人権-義務の不在」と題する論文である。こちらは権利というものが義務の文化に支えられて初めてその効果を発揮するということの論証を試みた論文である。加えて、本研究の概要を分かりやすくまとめた論文「近代立憲主義という名のエチュード」を公表した。これは日本の立憲主義の現在の立ち位置を歴史に遡って論証したものである。
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Research Products
(6 results)