2017 Fiscal Year Research-status Report
輸出企業の参入、財バラエティとマークアップによる国際景気循環の相関への増幅効果
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16K17089
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
小阪 みちる 上智大学, 国際教養学部, 准教授 (50612082)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 国際景気循環 / 国際相対価格 / 輸出企業 / 輸出財バラエティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、企業の輸出決定行動、輸出財バラエティ数の動学、マークアップの変化等がもたらす国際景気循環の増幅効果を分析することを目指している。平成29年度中は、主に以下の研究進捗があった。まず、“Government spending, trade openness and real exchange rates: The role of endogenous tradability”というタイトルの論文の執筆を行った。本論文では、政府支出のショックがどのように実質為替レートの動学を変化させるかについて、企業の生産性の異質性を考慮した2国モデルを拡張することで分析を試みた。特に、貿易開放度がどのように実質為替レートの反応に影響するかについて、内生的に決定される輸出行動のもたらす影響という観点から研究した。特に興味深いものとして、金融市場の仮定に応じて、貿易開放度と実質為替レートの初期減価率との関係が変わるという結果が得られている。本論文は、2018年度日本経済学会春季大会(2018年6月)において発表することが決定している。内生的なマークアップを考慮した場合、同様のモデルで政府支出の変化をはじめとする需要ショックがどのように伝播するかについて、現在分析中である。また、マークアップ効果と企業の生産性の異質性の変化が景気循環の国際相関にどのような影響をもたらすかについて、静学的分析に加え、2国DSGEモデルを拡張することで分析中である。特に、静学分析では、消費に最低水準のあるような効用関数を単純化のために考え、所得に外生的な変化を想定し、どのように実質為替レートをはじめとする相対価格および消費の相対比が変化していくかについて、いくつかの金融市場の仮定のもとで検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題の中で明らかにすることを目標としてきた内容の一つとして、企業の異質な生産性および内生的なマークアップを仮定した理論モデルを用いて、開放経済における政策の効果を分析することが挙げられるが、この点については上記の通り研究に大きな進捗がみられた。しかし、予定していた景気循環の国際相関に関するDSGEモデルを用いた分析に関しては少し遅れているため、全体としての進捗状況は「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度中の研究では、企業の異質な生産性および内生的なマークアップを仮定した理論モデルを用いて、開放経済において景気循環の増幅効果に影響をもたらすと思われる政策の効果の分析を中心として行った。平成30年度中は、分析結果を学会で発表した上で、学術誌への投稿準備を行う。また、国際景気循環の相関に財バラエティの変化が与える影響をより詳細にDSGEモデルを用いて分析することを試みていく。
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Causes of Carryover |
(次年度使用額が生じた理由) 予定していた学会発表を平成30年度に延期したことと、英文校正のためにかかる費用が不要となったため、次年度使用額が生じている。 (使用計画) 次年度使用額については、上記の分析に必要な関連書籍の購入および学会のための旅費、論文の英文校正にかかる費用として使用することを計画している。
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Research Products
(1 results)