2016 Fiscal Year Research-status Report
青年期におけるインターネット依存と注意の障害に関する実験臨床心理学的研究
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16K17333
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
津村 秀樹 島根大学, 医学部, 助教 (70636836)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | インターネット依存 / 注意バイアス / 注意機能 / ストレス反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
青年期におけるインターネット依存の有病率は約10 %と高く、インターネット依存はうつ病、不眠症などの精神的健康状態と関連することが示されている。しかしながら、インターネット依存の認知的特徴に関してはまだ十分に明らかにされておらず、インターネット依存に対する心理療法を確立するために、インターネット依存の増悪、維持に関わる認知的要因を明らかにする必要がある。本研究では、インターネット依存に見られる認知的特徴を明らかにする試みの一環として、インターネット依存の有病率が特に高い青年期を対象とし、インターネット依存と注意の特徴の関連性を明らかにすることを目的とした。 2016年度は、24名の実験参加者(平均年齢24歳、SD = 5.0、男性7名、女性14名)に実験を実施した。注意の測度としては、注意機能を測定する神経心理学的検査であるPASAT(Paced Auditory Serial Addition Test)、および注意バイアスを測定する認知課題であるドットプローブ課題を用いた。ドットプローブ課題では、インターネット関連刺激、ネガティブな刺激、ポジティブな刺激をそれぞれ中性刺激と対提示し、各カテゴリーの刺激に対する注意バイアスを測定した。さらに、依存症や注意バイアスはストレス状態において増強することが先行研究において報告されていることから、ストレス負荷課題を実施し、主観的、および生理的ストレス反応(唾液中コルチゾールなど)を測定した。併せて、実験参加者に、インターネット依存を測定するIAT(Internet Addiction Test)などの質問紙に回答を求めた。2016年に実施した実験では、当初予定したサンプルサイズをおおむね確保することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験課題の妥当性を検証する予備実験を行い、本研究で使用する実験課題を作成したこと、また、本実験を開始し、当初予定したサンプルサイズをおおむね確保することができたことから、本研究課題の進捗状況をおおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度は、2016年度に開始した実験を継続し、引き続きデータの収集を行う。本年度内にデータの収集を完了し、次いで、唾液検体の分析、およびデータ解析を行う。最終的に、本研究の結果をとりまとめ、学会発表、学術雑誌で公表する予定である。
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Causes of Carryover |
2016年度に唾液試料の分析を行う予定にしていたが、当初予定していたサンプルサイズにやや届かず、2017年度に引き続きデータ収集を行うことになり、唾液試料の分析を実施できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年度に、2016年度収集した唾液試料も含め分析を行うための費用として用いる予定である。
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Research Products
(2 results)