2017 Fiscal Year Research-status Report
自閉スペクトラム症における認知的柔軟性欠如の神経メカニズムの解明
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16K17363
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
板橋 貴史 昭和大学, 発達障害医療研究所, 講師 (70636943)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 心的距離 / 柔軟性 / fMRI |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉スペクトラム症(ASD)当事者と健康成人の安静時fMRIデータの解析を行なった。頭頂における機能結合の異常がASDにおいて示され、それが注意に関わる症状の重症度との相関を示した。これらのことから注意の問題が、ASDにおける認知的柔軟性を含めた社会相互性の障害に寄与している可能性がある。これらの結果をまとめ、OHBM2017において発表した。今後は、論旨を補強する解析を行い、論文投稿を目指す。 また、自閉スペクトラム症(ASD)当事者および健康成人30名ずつから課題賦活型fMRIデータを収集した。体動の影響から2名程度の除外があったが、得られた28名ずつのfMRIデータの解析により、左の上側頭回前部における賦活がASD当事者群において低下していた。加えて、その低下とASDの臨床症状の中でもコミュニケーション障害の重症度と相関があることが示された。この結果については、OHBM2018において発表する予定である。 また、心的距離が認知的柔軟さや共感に関わる能力に影響を与えている可能性も考えられたため、ASD患者および健康成人20名から行動データ・動画データ・心理検査データを収集した。単純なsocial networkのサイズなどでは群間差は得られなかった。しかし、他者にアプローチする際の心的距離を定義する基準や相手が自分にアプローチする際の心的距離を定義する基準において質的な違いがみられる傾向にあった。今後、テキストマイニングなどの技術を組み合わせることで、より詳細な違いを明らかにし、適宜発表を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
行動データ収集、fMRIデータ解析などを含めて概ね順調に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた行動データの結果などに基づき、fMRI課題の修正等を行う。その後、健康成人およびASD当事者のfMRIデータ収集を行い、その結果をまとめ適宜国際会議等で発表をし、論文投稿を目指す。
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Causes of Carryover |
旅費が予定額を下回ったため。
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