2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of methods for evaluating stress and psychological happiness in dolphins based on behavioral observation and hormone levels
Project/Area Number |
16K17367
|
Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
酒井 麻衣 近畿大学, 農学部, 講師 (40512299)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | ストレス / 心理的幸福 / ホルモン / 行動 / イルカ / 鯨類 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、イルカ類の健全な飼育環境の実現と生活の質の向上を目指す。そのためには、飼育下での行動を野生本来の行動に近づけること、簡易にストレスや心理学的幸福を把握する必要がある。本研究では、飼育環境を改善するための情報を得るため、行動を観察すると同時に、血液や表皮(垢)を採取しストレスおよび幸福の指標となるホルモンを測定し、イルカのストレスや心理学的幸福が観察だけでわかるような行動指標を見つけることを目的とした。 平成30年度は飼育シャチにおいて血液サンプリングを行い、血中オキシトシン濃度測定に本種で初めて成功した。また、3年にわたり血中βエンドルフィン濃度・オキシトシン濃度・コルチゾール濃度の測定を行うとともに、採血前の行動のデータを収集・分析した。その結果、遊泳・静止状態とコルチゾール濃度およびβエンドルフィン濃度に関係性を見いだすことができ、ストレス状態を遊泳状態から判定できる可能性を示した。また、この期間中大きな疾病は無かったことから、本種の健全な状態のホルモンレベルと行動割合を明らかにできた。 飼育ハンドウイルカにおいて3年にわたり血液およびいくつかの部位からの垢のサンプリングを行い、同時に行動データを収集した。背ビレや尾ビレなど採取部位による垢中コルチゾール濃度の差は認められなかった。このことから垢は部位を選んで採取する必要がなくストレス評価に有用な材料であることが示された。また、垢の蓄積量を調査し、垢は毎日流出し更新されていることを明らかにした。血中と垢中コルチゾール濃度の関係を検証したところ、血中濃度が高い数日間に垢中コルチゾール濃度も高かった。よって垢中コルチゾール濃度は1日から数日間のストレスの指標になる可能性が考えられた。1個体のみからこの結果を得ている状況であるため、今後実験を追加し検証していく。
|
Research Products
(6 results)