2016 Fiscal Year Research-status Report
インドにおける高等教育の国際化ー学生・教員の移動と質保証
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16K17412
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小原 優貴 東京大学, 教養学部, 特任准教授 (70738723)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高等教育の国際化 / 学生・教員の移動 / 教育の質保証 / インド |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は文献収集、現地調査、学会参加等を通じて、インドの高等教育の国際化に関する情報収集を進めた。現地調査では、マハーラシュトラ州のプネー大学(州立)、シンバイオシス大学(私立)、バーバサヘブ、アンベードカル・マラーットワダ大学(州立)などを訪問し、各大学の国際事業化担当者にインタビューを実施した(第1次調査:2016年8月5日~8月19日)。 調査対象校では、アフリカ、南アジア、中東からの留学生や中東在住の非居住インド人(Non-Resident Indians)を受け入れており、留学生にとっては、低コストで英語での教育を受けられるという点や文化的多様性がインドを選ぶ動機であることが明らかにされた。先進国からの留学は、国際研修という形での短期留学が多く、欧米諸国、アジア(東アジア・東南アジア)諸国を中心とする大学間交流協定が確認された。インタビューでは、留学の応募資格、奨学金制度、留学にかかる費用(学位・滞在費等)、カリキュラム、単位互換制度等についても調査をおこなった。 また今年度は、アメリカの比較国際教育学会に参加し(2017年3月4日~3月12日)、インドの高等教育の国際化に関する最新の動向や関連文献等について参加者と情報交換をおこなった。 インドの高等教育の国際化と質保証の現状と課題を、国際化を進める先駆的な事例の分析を通じて解明する本研究は、南アジアを中心に展開される高等教育の国際化の現状理解と、世界第2位の留学生送り出し大国であるインドが直面する「頭脳流出」問題の将来展望に役立つ研究であるといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査対象校は国際化を進める先駆的大学ではあるが、関連情報の整理状況に差があり、各大学で入手できる情報量に差があった。そのため、第2次調査で予定していた質問項目についても回答を得られた大学がある一方で、第1次調査で予定していた情報を十分に入手できなかった大学もあった。一方、学会参加や現地調査等を通じて、関連情報を順調に収集できているため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、引き続き、インドの高等教育の国際化および質保証に関する資料や1次データの収集に努めるとともに、これまで収集した情報の分析を進め、成果発表を行う。 まず現地調査として、マハーラシュトラ州(プネー大学、シンバイオシス大学、バハルティービデイャピートゥ大学)で、外国からの学生と教員を対象に質問紙調査・インタビューを実施し(第2次調査8月予定)、カルナータカ州のマニパル大学、アーンドラ・プラデーシュ州のオスマニア大学で、これまでと同様の方法で調査を実施する(第3次調査2月予定)。 第1次調査では、各大学で国際化に関する情報の整理状況に差があり、1回の調査期間(1-2週間)で十分な情報が得られない大学もあった。この点については、現地の協力者と連携して研究を進めることで対応したいと考えている。 調査時期と重なれば、インドの高等教育の国際化に関わる政府関係者・大学関係者が国内外から集うシンバイオシス大学主催のシンポジウムに参加し、研究課題に関するネットワーク構築を進める予定である。 なお研究成果の発表の場としては、アメリカの比較国際教育学会、南アジア地域研究東京大学拠点(TINDAS)主催の研究会等を予定している。
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Research Products
(1 results)