2018 Fiscal Year Research-status Report
財政困難下の米国大学における学生支援職の変化と戦略に関する理論的・実証的研究
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16K17425
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
小島 佐恵子 玉川大学, 教育学部, 准教授 (40434196)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 高等教育 / 米国 / 大学職員 / 学生支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、2000年以降とくに学費高騰が著しい米国の大学において、その影響を強く受けている学生支援に関する専門職(学生支援職)の変化と厳しい環境下を生きるための戦略を理論的・実証的に明らかにすることを目的としている。具体的には、次の3点を行うことを予定してきた。(1)米国の学費に関する国内の先行研究を概観し、近年学費高騰が著しい地域の州政府議会や大学の関連資料を探り、現状を整理する。(2)学生支援職に関する先行研究の検討を行い、理論的文献の渉猟をしたうえで、それを援用しながら戦略に関する分析を行う。(3)学生支援職に起きている経年的な変化を先行研究の結果と突き合わせながら、インタビュー調査で明らかにする。 これまで(1)(2)を中心にすすめてきたものの、妊娠による体調不良・医師による安静指示があり、(3)については行えていない。また、当初は平成30年度が研究課題の最終年度であり、(3)を含めた最終的なまとめをする予定であったが、産前・産後休暇および育児休暇を取得したため、研究の進展はなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成30年6月より産前・産後休暇および育児休暇を取得したため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度は調査会社等の活用も視野に入れながら、速やかに事例調査を進めることを予定している。これまでの調べでは、州財政の高等教育への支出は回復傾向を見せているものの、リーマン・ショック以前のレベルには戻っていないこと、州財政が逼迫しているところではもちろん、複数の大学で学生支援職のポストが削減・統合されていることが明らかとなった。一方で、アカデミック・アドバイジングが維持されている傾向や、学生支援への支出を増加することで学生の卒業率を上げることができているという傾向も見られた。したがって、全体的に削減傾向にあるものの、部分的には維持・補填されているところもあり、とくに教学に近い部分では維持・補填されている傾向があるのではないかということが推察された。そこで今後は高等教育への財政支出が厳しい州をいくつか取り上げ、高等教育機関への影響、とくに学生支援職についてより具体的にどのような変化があったかをインタビュー調査等から明らかにしていきたい。最終年度となる令和元年度は以下の計画を進めることを予定している。(1)これまで進めてきた内容を踏まえ、州財政の逼迫が高等教育に何をもたらしてきたのか、研究の大枠を再度整理する。(2)保留となっていた訪米調査を進め、集めた資料およびインタビュー結果から具体的な高等教育機関への影響の事例分析を行う。(3)財政的な圧力によって浮き彫りとなる高等教育機関内の状況について、教員と職員、教学と学生支援等の軸の対比から学生支援職の位置づけや戦略について、理論的見地も踏まえて考察を行う。(4)学会発表した内容や調査結果をまとめ、論文を作成する。
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Causes of Carryover |
平成30年度は産前・産後休暇および育児休暇の取得により、研究を中断していたため。 調査会社への委託費、訪米調査の渡航費、資料購入費、学会出張費等に使用する予定である。
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