2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K18056
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Research Institution | Kobe City College of Technology |
Principal Investigator |
清水 俊彦 神戸市立工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (30725825)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ジャミング転移 / 真空吸着パッド / 凹凸面吸着 / ロボット / エラストマー膜 / 粉体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ジャミング転移に基づく万能真空吸着グリッパ(Universal Vacuum Gripper, UVG)の開発を推進している。UVGはエラストマー膜とそれに内包された粉体をリップ部に有する真空吸着グリッパである。昨年度は主にエラストマー膜に関して、性能向上に向け開発を推進した。実績は主に3点である。 1点目は金型によるエラストマー膜の作成法を確立したことである。従来型のUVGは円筒状のリップ部を持つ真空グリッパであり、市販の天然ゴム風船を用いていた。そのため、吸着部の先端にシワが寄り、空気漏れの原因となっていた。そこでシリコーンを用いた金型成型法によるエラストマー膜の開発を行った。本手法を用いることで、UVGに適した形状のエラストマー膜が作製可能となり、上述する空気漏れの改善を実現した。また自由形状のエラストマー膜の作製が可能となったことで、形状に関する性能の検証の実施が可能となった。 2点目は、UVGを用いた吸着型アシストスーツの開発である。NHK凄ワザ「究極の真空吸着対決」において、本研究で開発するUVGが取り上げられた。対決のテーマは、従来型の真空吸着グリッパでは困難であった、丸太などの凹凸面への吸着と高重量のワークへの対応であった。上述したエラストマー膜の成型法を用いることで、吸着面が湾曲したUVGの開発を行った。また100kgのワークの吸着を実現するため、大型のUVGの開発を行った。その結果、高重量ワークおよび凹凸面への吸着が実現できることを確認した。 3点目はUVGを持ちいた検査用吸着型マルチコプタの開発を行った。ペイロードが制限されるマルチコプタにおいて、吸着機構の軽量化が望まれている。そこで垂直方向の吸着性能を高めた傾斜型UVGの開発を実施した。吸着面の傾斜により、同一サイズの吸着性能の向上を実現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定として掲げていたエラストマー膜の作成、粉体の最適化を行った。その結果、エラストマー膜の形状による性能評価を実施することが可能となった。形状による効果として、傾斜型による凹凸面への吸着力の向上、湾曲型による丸太などの大径物への吸着が検証された。形状の調査に関しては、上記以外の形状を有する試作機の作製が可能となった状況であり,初年度で想定していた以上の進捗がある状況である。 次に粉体に関する検討も実施した。粉体は従来のUVGでは挽いたコーヒー豆を使用していた。そこでポリスチレンビーズ、小麦粉、発泡スチロールなども含めて性能を検証した。その結果、粉体のサイズが小径である程、吸着性能に寄与することが確認された。 また粉体自身が変形しない挽いたコーヒー豆のような剛性の粉体ではなく,粉体自身が変形するパウダースポンジのような多孔質粉体についても検証を進めている.粉体の収縮により従来のグリッパでは困難であった小径物の把持が可能であることが確認されている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として,以下2点を挙げる.一点目はエラストマー膜の形状の最適化である.従来型のUVGは円筒構造のエラストマー膜に粉体を充填し,内部にスポンジを配置した構造であった.これらの構造の最適化を進めることで,凹凸面への変形性能,吸着力の向上,UVGの耐久性の向上に取り組む. それに際して,エラストマー膜の素材についての検討も進める.現状は型取り用シリコーンを用いており,引き裂きに対する耐久度が低い状況である.機械的強度の高い素材に変更することで耐久度の向上を図る.また吸着部であるエラストマー膜で吸着に関する変形性能と荷重に耐える耐久性を両立させる.同時に,荷重を支える外部機構を用いて,機能を分散した設計についても検討を進める. 粉体に関する検討も実施する。多様な粉体の特性を解析するため,インストロン万能試験機を用いる.ポリスチレンビーズ、小麦粉、発泡スチロールなども含めて性能を検証する.また多孔質粉体のような,特性の異なる異種粉体についても性能を検証する.最終的に状況の知見を統合し、シミュレーションによる粉体の最適化を実施する予定である。
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Research Products
(14 results)