2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K18056
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Research Institution | Kobe City College of Technology |
Principal Investigator |
清水 俊彦 神戸市立工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (30725825)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ジャミンググリッパ / 真空吸着グリッパ / 凹凸面吸着 / エラストマー / 粉体 / ドローン / 脚式ロボット |
Outline of Annual Research Achievements |
万能真空吸着グリッパ(以降UVG)に関して応用研究を行った.具体的には,ロボットアームや壁面吸着型ロボットなど,各種ロボットシステムに適用した際の性能評価を行った.UVGの特徴は従来の真空吸盤では困難であった凹凸面への吸着を可能としつつ,ジャミング転移による摩擦把持が実現出来る点にある.この特徴を用いて,多品種の野菜が把持可能であることをロボットアームシステムを用いて検証した.レタス,トマト,じゃがいも,ナス,サクランボ,イチゴなどのサイズや形状が異なる品種を,UVG1つで搬送するデモを実施した.研究成果の一部は,2018国際ロボット展に株式会社妙徳と共同出展した.その結果,万能ハンドとして各種メディアに取り上げられた. また近年,社会インフラの老朽化に伴い,高所作業を行うロボットの需要が高まっている.そこで本研究では,材質問わず凹凸面に吸着可能なUVGを用いた吸着型ロボットの開発を進めた.具体的には壁面吸着型ドローンおよび脚式移動ロボットの開発を行った.これらのロボットを2018ジャパンドローン展に,マクセル株式会社および菱田技研工業株式会社と共同出展した.開発したロボットの特徴は,従来型と比較して真空ポンプを内蔵した単独駆動型を採用したことである.この結果,空気圧チューブや電源ケーブルによる行動範囲の制限を受けない,ロボットシステムの開発を実現した. 更に多孔質粉体を用いた超収縮ジャミンググリッパやUVGを用いた非接触グリッパなどを開発し,その特性解析を行った.従来のジャミンググリッパや非接触グリッパにない,小径物や脆性物体の把持,凹凸物の非接触把持といった把持対象の拡大を目的とした応用研究を実施した.加えて,UVGを用いた壁登りアシストスーツを開発し,プロクライマによるビル壁登りを実施し,120mの壁登りを実現した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
主にUVGの応用研究を主眼に研究開発を進めた.近年ではAmazon Robotics Challengeを代表とした多品種を扱うロボットシステムに関する需要が高まっている.UVGは従来の吸着グリッパと比べて,凹凸物と通気物の取扱を可能としたロボットハンドであり,その対応範囲の広さに注目が集まっている.そこで不規則形状を有する野菜などの不定形物の把持性能を評価した.本成果は2018年度国際ロボット展に出展した. また充填粉体による影響を調査すべく,多孔質粉体を用いたジャミンググリッパの特性解析を行った.従来のジャミンググリッパは小径物および脆性物体に関する把持性能に制限があった.そこで従来の硬質粉体ではなく,粉体自身が変形する多孔質粉体を用いるグリッパを提案した.インストロン実験機による把持力を測定した結果,従来型と比較して,小径物および脆性物体の把持性能が向上していることを確認した. またジャミンググリッパを用いた非接触グリッパについても開発した.従来の空気圧式非接触グリッパは平面形状の物体に吸着対象が制限されていた.そこで,UVGを用いた非接触グリッパの特性解析を行った.その結果,球形,円筒形,円錐形などの形状に関して非接触把持が可能であることを確認した. 更に耐久性を向上したUVGを開発し,これを用いた壁登りアシストスーツを開発した.従来型のUVGはシリコンの強度が弱く,繰り返し使用によって膜が断裂する状況が発生した.そこで使用するシリコンを変更し,UVG膜の強度向上を実現した.強化型UVGを用いた壁登りアシストスーツを用いてプロクライマによるビル壁面の壁登りを行った.その結果,120mの登攀を実現し,十分な膜強度を有していることを確認した.
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Strategy for Future Research Activity |
現状はある数値以下の凹凸面に関して吸着性能を確保した段階である.そこで段差吸着性能を向上するための形状について検討を進める.具体的には研究課題で予定していた通り,凹凸の規則性を大分類とし,深さや面積などの項目を用いて分類を進める.以降,タイル面などの規則性およびモルタル壁などの不規則性の凹凸を有する面を規則面および不規則面と呼ぶ.まずは規則面に関する吸着力の評価を行う.また不規則面に関する吸着力の実機計測およびデータ収集を行う.加えて,壁面移動ロボットおよび打音検査ユニットの開発に着手し,実地試験を開始する.また,ソフトロボティクス技術を広く社会に発信するため,教材用 UVG の開発に着手する.
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Causes of Carryover |
残額に関してチェックすることを怠ってしまったため,剰余金が発生してしまった.今回発生した次年度使用額については,翌年度の請求額と合算し,エラストマー膜の材料を購入する費用に充当する予定である.
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Research Products
(13 results)