2017 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of seismic behavior of hinge type precast arch culvert under unsymmetrical earth pressure condition
Project/Area Number |
16K18148
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
澤村 康生 京都大学, 工学研究科, 助教 (20738223)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ヒンジ式プレキャストアーチカルバート / 偏土圧 / 加速度応答 / 遠心模型実験 / 有限要素解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒンジ式プレキャストアーチカルバートは,本体断面を分割し,主要部材をプレキャスト製品とすることで高い品質管理と工期の短縮を可能としたカルバートである.さらに,部材同士の連結位置にヒンジ機能を持たせることで部材の変形をある程度許容し,地盤反力を積極的に引き出すことで力学的に安定な構造となる.しかしながら,実施工においては,左右の地盤から等しい土圧が作用する理想的な条件ばかりではなく,盛土に対して一定の射角を持ってカルバートが設置されることが多いことから,特に坑口部においてはカルバートに偏土圧が作用する.2011年に発生した東北地方太平洋沖地震では,坑口付近を中心に大きな被害が発生したが,これらの被災事例はいずれも偏土圧の影響を強く受けたと考えられ,偏土圧条件下に建設されたカルバートの地震時挙動を解明する必要がある.そこで本研究では,特に坑口付近に着目し,カルバートに偏土圧が作用することで,カルバート横断方向,縦断方向の地震時挙動にどのような影響を与えるか検討した. その結果,カルバートに偏土圧が作用した場合には,カルバートは初期状態から設計とは異なる変形モードを示し,さらに横断方向・縦断方向のいずれの加振においても,曲げモーメントと軸力の不均一性が増大することを確認した.また,特に土被りが小さい場合においては,カルバートおよび盛土の左右で応答加速度の振幅が異なり,位相のズレも生じることを確認した.これら,偏土圧に伴うアーチ部材の不安定な力学状態が,アーチ部材のねじれ変形を引き起こし,頂部ヒンジのずれや目地の開き,部材の曲げひび割れといった被害を引き起こすと考えられる.坑口壁の安定性を向上させるためには,抑え盛土を施工するなど,偏土圧の影響を小さくする対策工が望ましい.
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