2017 Fiscal Year Research-status Report
固有種ニホンイシガメの遺伝的多様性の解明―種内系統間及び異種間交雑の影響について
Project/Area Number |
16K18607
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
鈴木 大 東海大学, 生物学部, 講師 (90647489)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ニホンイシガメ / 和歌山県 / 紀伊水道 / ミトコンドリアDNA / 核DNA / 遺伝的多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
ニホンイシガメ(Mauremys japonica)の遺伝的多様性の解明に向け,集団遺伝解析を行う必要がある.これまでに入手してきたサンプル地点のうち,特に個体数の少なかった地点の一つである和歌山県において,2017年9月から10月にかけてサンプリング調査を実施した.調査の結果,県中部地域の河川にて,ニホンイシガメを2個体捕獲することができた.同河川においては,クサガメ(M. reevesii)も数多く捕獲されたが,両種の交雑個体は未確認であった. 2017年度より,本研究代表者が所属研究機関を移ったが,それに伴い実験環境設備を整える必要が生じた.そこで,これまでに解析を済ませたサンプルに対して,移動先の実験設備(シーケンサーやPCR機等)を用いて,これまでと同様の実験ならびに解析を行った.改めて実験,解析して得られた結果は,これまでのものと違いは見られなかった.そのため,従来通りに,現所属の機器を用いて解析を行うことに問題は無いと判断した.その後,未解析の試料について,特にミトコンドリアDNAのチトクロムb遺伝子やD-loop領域,核DNAのC-mos遺伝子を中心にシーケンス等の解析を行なった.以上の結果より,入手済みの試料における塩基配列データは解析に十分な数得ることができた. 本年度の研究成果の一部について,第56回日本爬虫両棲類学会大会(熊本大学),ならびに科研プロジェクト(JSPS科研15K07233)報告会シンポジウム(岡山理科大学)において,口頭発表を実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2017年度より研究代表者の所属機関が変更となった.これにより,当初予定していた実験機器が使えなくなったため,進捗が遅れている.特に,本研究の要である集団遺伝解析について,現所属機関に設置してあるシーケンサーが前所属機関のものよりも古い型であり,作業効率が低下したことが,研究進捗状況が遅れた主因である.なお,以上の背景から,科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)補助事業期間延長承認申請書を提出し,2018年度へ延長して本研究を実施させていただけることになった.
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Strategy for Future Research Activity |
試料を保管する冷凍庫などの設備については,2017年度に購入,設置を行なった.一方で,解析に必要な試料については十分な数,確保することができた. 2018年度は,遺伝子解析,特にマイクロサテライト解析を実施する.得られた結果をまとめ,学術論文としての発表を目指す.
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Causes of Carryover |
2017年度より研究代表者の所属機関が変更になり,申請時に利用を計画していた実験機器の利用が困難になるなど,研究の進捗が遅れた.2017年度は実験環境の確認やその構築に時間を費やしたため,当初の実験計画を進めることが困難になった.以上の背景から,次年度使用額が生じた. 2018年度は,すでに解析に必要な量の試料を得ることができたため,遺伝子解析,特にマイクロサテライト解析を行う.シーケンサーの状態によっては,外部機関に解析を委託するなどの判断を早めに行い,計画していた実験について今年度中に全て完了することを目指す.
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Research Products
(4 results)