2017 Fiscal Year Annual Research Report
stimation of Soil Formation Rates of Japanese Forests using a Watershed-based Mass Balance Method
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16K18669
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
阿部 進 近畿大学, 農学部, 講師 (40708898)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 土壌生成速度 / 森林生態系 / 集水域マスバランス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、集水域スケールで地球化学元素のマスバランスを計算することにより、土壌生成速度を推定する手法(集水域マスバランス法)について、日本の森林集水域を対象としてその信頼性や実用性を検討し、土壌生成速度の測定法を確立することを目的としている。奈良県の春日山および矢田丘陵に位置する母岩の異なる2つの集水域(片麻岩 vs. 花崗岩)から得られた観測データを基に、土壌生成速度(+岩石風化速度)を算出し、相互に比較すした。結果として、母岩の違いを主因にすると思われる土壌生成速度(+岩石風化速度)の差がみられたが、当初期待していたほど大きな差ではなかった(論文投稿ち中)。 また、春日山においては、植生の違いに着目して土壌調査を行い、データ解析を進めている(一部データはすでに論文として投稿中)。更に京都府大江山において、地質条件の異なる隣接する森林集水域(堆積岩 vs. 蛇紋岩)を調査し、土壌生成速度(+岩石風化速度)を求めることができた。これら結果の一部は学会で発表することができた。 他方、当初計画にはなかった既存データの再解析によって、土壌生成速度(+岩石風化速度)の推定精度を検討できた。また、この結果から長期にわたって集水域マスバランスデータの解析が可能となる米国ハバードブルック長期生態系モニタリングサイトにおける調査の必要性が生じ、関連データを入手するとともにデータ解析を進めている。 総評として、研究目的であった集水域マスバランス法の信頼性や実用性の検証は一部達成できたが、土壌生成速度の測定手法を完全に確立することはできなかった。本研究を進めていく過程で、質・量ともに更に広範囲かつ集中的な調査・モニタリングとデータ解析や他の土壌生成速度測定法(例えば、宇宙線生成核種計測法)との比較が必要になることが確認できたことから、本研究の結果をもとに今後継続して研究を進めていく予定である。
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Research Products
(9 results)