2016 Fiscal Year Research-status Report
メチルキサンチン誘導体の抗肥満効果の検証と高機能化
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16K18701
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
三谷 塁一 信州大学, 先鋭領域融合研究群バイオメディカル研究所, 助教(特定雇用) (40773304)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | テオブロミン / 脂肪細胞 / アデノシン受容体 / 肥満 |
Outline of Annual Research Achievements |
肥満は2型糖尿病や心血管系疾患を引き起こす危険因子であることから、抗肥満効果や脂質代謝改善効果を有する食品由来成分の探索とその作用機構の解明が注目されている。我々はカカオ豆に含まれるテオブロミン(3,7-dimethylxanthine)が脂肪蓄積の抑制効果をもつことを見出している。本研究では、テオブロミンによる脂肪の蓄積抑制効果の詳細な作用機構を明らかにすることを目的とした。 マウス線維芽細胞株(3T3-L1)をテオブロミンの存在下で脂肪細胞へと分化させた結果、脂肪細胞への分化初期に働く転写因子であるC/EBPβの分解を亢進した。プルダウンアッセイの結果から、テオブロミンは細胞膜受容体であるアデノシン受容体 A1(AR1)と相互作用することが示され、AR1をノックダウンすることで、テオブロミンによる脂肪滴蓄積の減少とC/EBPβの分解亢進は解除された。C/EBPβはSUMO化されることでユビキチンプロテアソーム系による分解が誘導される。テオブロミンはC/EBPβのSUMO化を誘導し、AR1をノックダウンすることでテオブロミンによるSUMO化の亢進は解除された。雄性ICRマウスにテオブロミンを1週間経口投与したところ、対照群と比較してテオブロミン投与群では体重と生殖腺周辺脂肪重量の増加が抑制された。さらに、雄性ICRマウスの生殖腺周辺脂肪組織のAR1をノックダウンした状態でテオブロミンを摂取させた結果、テオブロミンによる脂肪重量の低減効果は解除された。以上の結果をまとめるとテオブロミンはAR1を介してC/EBPβのSUMO化を亢進することでタンパク質の分解を誘導することが示され、それが脂質形成の抑制に繋がっていると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に記載した項目であるテオブロミンによる脂質蓄積の抑制メカニズムを明らかにし、脂肪細胞におけるテオブロミンの標的タンパク質の同定が完了した。さらにin vivoにおいてテオブロミン摂取が脂肪細胞の肥大化を抑制すること、さらにテオブロミンによる効果に標的タンパク質が関与することを一過的なノックダウン実験で証明することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
テオブロミンと他のメチルキサンチン誘導体による脂肪蓄積抑制効果を比較検討することで、テオブロミンの活性部位を同定する。さらに、動物実験においてテオブロミン摂取後の体内動態を解析するとともに、テオブロミンを化学修飾することでより脂肪蓄積抑制効果が高い食品成分を創出する。
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Causes of Carryover |
概ね研究がスムーズに進み想定していた試薬の使用を抑えられたため次年度使用額が生じた
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、平成29年度請求額とあわせて、培養細胞の回収や動物から採取した血液を分離する為の小型の遠心分離機の購入のために使用する予定である。
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Research Products
(3 results)