2016 Fiscal Year Research-status Report
感染症発生動向の可視化及び疫学的解析システムの開発
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16K19265
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
加納 和彦 国立感染症研究所, 感染症疫学センター, 研究員 (00383654)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 感染症疫学 / 感染症サーベイランス / 可視化システム |
Outline of Annual Research Achievements |
感染症発生動向調査の全数把握対象疾患(85疾患)について、届け出られた症例データの可視化システムの開発を行った。システムは、①リアルタイムの発生(報告)状況の把握、②週報集計時点の報告数と今後の動向予測の表示、③過去のデータと関連情報の表示と取得、の3つの観点から開発を進めた。①では、"時間"に関する情報として疫学カーブ(縦軸に報告数、横軸に診断日/週/月)を描き、マウスで選択(ドラッグ)した任意の期間の症例について、"場所"に関する情報(報告地別色分け日本地図等)、"人"に関する情報(年齢・性別等)を同時に表示するものとした。リアルタイムの発生(届出)状況を、簡便な操作により即座に把握することが可能になった。②では、感染症発生動向調査週報として公開される集計データ(週別報告数及び累積報告数)をグラフ化し、さらに年末までの累積報告数の見積値を表示する機能を加えた。見積値は、現在から任意の週までの累積報告数の増加率を過去数年分について算出し、その平均値(及び±1SD値)を現在までの累積報告数に乗じることにより算出した。過去の平均的な増加率から求めた見積値をベースラインの一つとして用い、ベースラインに対する今後の実際の報告数を監視する。異常検知機能の一つとして活用できると考えられる。③では、システムが現在のものに移行した2006年4月以降のデータについて、報告数のデータと、感染症サーベイランスに関連する様々な情報を紐づけて表示する機能を実装した。関連する情報とは、例えば、検査法の保険適用の拡大等の制度変更に関する情報、感染研から発出されている定期刊行物の記事、学術論文、メディア記事等である。特に制度変更は、患者報告数の増減に大きな影響を及ぼす可能性があるため、感染症サーベイランスデータのより適切な解釈のために必要不可欠である。なお、関連情報の整理とデータベース化はH29年度に行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね予定していた通り、感染症情報の可視化システムを開発することができた。ただし、現時点では定点把握疾患データの可視化までできていないため、H29年度以降に開発を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
H29年度は積み残しである定点把握疾患データの可視化ツールの開発を行う。また、異常検知機能の実装について検討する。関連情報の整理とデータベース化については、謝金によりデータの作成と確認作業を進める。
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Causes of Carryover |
年度末納品等にかかる支払いが平成29年4月1日以降となったため、当該支出分については次年度の実支出額に計上予定。平成28年度分のうち物品費(サーバ一式)として約100万円使用済みである。 また海外出張を予定していたが、業務との兼ね合いにより実現できず、次年度繰り越しとしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の通り。海外及び国内の学会へ参加に使用する。
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