2016 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病性糸球体硬化のChip-Seq解析と核内受容体を標的とした効率的治療
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16K19490
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
田蒔 昌憲 徳島大学, 病院, 医員 (90528902)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | BMP4 / レチノイン酸 / 糖尿病性腎症 / メサンギウム細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病性腎症の主要な病理学的所見であるコラーゲンIVの増加は、Bmp4/Smad1軸を介して増強されることがこれまでに見出されている。本研究ではチノイン酸によるBmp4制御を介したコラーゲン発現制御を解析した。 CD-1マウス由来メサンギウム細胞を用い、代表的なレチノイン酸であるatRA投与による影響を評価した。レチノイン酸投与はBmp4発現を濃度依存的に減少させ、コラーゲンIV発現もそれに準じた。一般的に、レチノイン酸はその受容体(レチノン酸受容体: RAR)と結合し、遺伝子転写開始点上流または下流のゲノム上に存在するレチノイン酸応答配列と直接結合し、発現制御することが知られている。そこで、マウスゲノム解析を行い、Bmp4遺伝子転写開始点上流約1.1万塩基と5万塩基にそれぞれレチノイン酸応答配列である可能性が示唆される領域が存在することを特定した。同部位とRARとの結合能を、ChIP法にて確認したところ、1.1万塩基上流の領域において、atRA投与にてRARとの結合が誘導されることを見出した。今後、同部位の遺伝子編集を行い、RARとの結合能およびBmp4発現への影響を評価する予定である。 レチノイン酸受容体サブクラス特異的アゴニストを用い、3種類のサブクラス(α、β、γ)のうち、RARαが最もBmp4制御に有用である可能性が示唆された。また、それぞれのサブクラスをsiRNA導入にて発現量を減少させた細胞を用いた実験系でも、同様にRARαが最もBmp4制御に有用である可能性が示唆された。 ストレプトゾトシン誘発性糖尿病モデルマウスを作成し、in vivoでの実験を行う準備を進めている。現在最適なレチノイン酸投与方法について検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
atRAがマウスBmp4発現を制御することと、Chip法にてその発現を直接制御する可能性があることを見出した。現在、レチノイン酸応答配列変異細胞を作成中である。また、Bmp4発現に重要なサブクラスを特定した。さらに、in vivoにて糖尿病性マウスへの影響も評価中である。 これらのことから、当初の実験計画はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
レチノイン酸応答配列変異細胞を作成し、RARとの結合能、Bmp4発現およびコラーゲン発現への影響を評価する。 糖尿病モデルマウスへの、レチノイン酸投与による影響を評価する。
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Causes of Carryover |
本実験にて出費を予想した遺伝子組換え細胞の作成やマウスの解析などが、当該年度における出費額としては想定よりも安価であったため。また、実験系として確立するまではなるべく安価に施行できるように実験計画を調整していたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き遺伝子組み換え細胞作製、動物モデル解析などを継続する。今年度は前年度よりも多数のサンプルでの実験を予定しており、計画通りの出費が見込まれる。
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