2016 Fiscal Year Research-status Report
川崎病患児におけるビタミンD欠乏;治療応用への発展
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16K19647
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
鈴木 康夫 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (00593302)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 川崎病 / ビタミンD / 治療反応性 / 冠動脈病変 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、食習慣、生活様式の変化によるビタミンD欠乏と、それによる川崎病への影響についての研究である。ビタミンDは、主に骨代謝に関係していると考えられていたが、近年免疫抑制作用も報告されている。T、B リンパ球においてビタミンD受容体の発現が認められ、活性化することによってその発現量は5倍に増加する。ビタミンDはT細胞の増殖を抑制しサイトカインの産生を抑制する。単球マクロファージに対しても、炎症性サイトカインやケモカインの放出を抑制する。ビタミンD欠乏は世界的に問題となっている。日本でも、乳幼児・妊婦等を中心にビタミンD不足が指摘されている。疾患との報告では、多発性硬化症においては、環境因子と遺伝的要因が発症や症状および治療に関係しており、環境因子ではビタミン D 欠乏が最も関連がある。炎症性腸疾患においても、日照時間の短い地方により発生頻度が高く、そのような患者では、血清ビタミンD濃度が低い事が分かっている。炎症性腸疾患のモデルである IL-10 ノックアウトマウスは、ビタミンD投与により症状が軽快することからその治療的な有用性が示唆された。川崎病は乳幼児に好発し冠動脈障害を合併する血管炎である。未だ原因不明であり、 本邦及び県内の疫学調査では年々増加傾向にある。川崎病罹患児の血清ビタミンD濃度(血清 25(OH)D)、生年月、食事、地域平均日照時間から宿主側因子を明らかにしたい。臨床的特徴、 末梢血の顆粒球活性化、サイトカインプロファイルから川崎病病態への影響について解析する。川崎病の主要病変と考えられているヒト冠動脈血管内皮細胞を用いて川崎病標準初期治療へのビタミンD追加投与の抗炎症作用について検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当院倫理委員会の承認と、各病院への倫理委員会への申請に時間がかかっている。川崎病患者の同意を得られないこともあり、検体採取、収集が予定より遅くなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
地域性については、川崎病全国調査を用いての検討を追加する。 各病院合同会議で、プレゼンを行い研究推進していく。各病院の倫理委員会と連携して研究を進めて行く。 各病院のスタッフに再度説明文書について説明をして患者からの同意を得られやすくする。
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Research Products
(2 results)