2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K19999
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
吉川 陽文 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (30646691)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 小胞体ストレス応答 / 脳血管関門破綻 / 脳虚血 |
Outline of Annual Research Achievements |
小胞体ストレス応答の主幹転写因子であるATF6遺伝子をノックアウトしたマウスを用いた。 野生型マウスとATF6αノックアウト(KO)マウスで中大脳動脈閉塞による脳局所虚血モデルを作成し亜急性期(~3日)に脳血管関門破綻を示す漏出物質の測定比較を行った。また、慢性期の梗塞巣評価のため、モデル作成2週間後でのサイズ比較を行った。 結果は、ATF6αKOマウスでは亜急性期の脳梗塞巣近傍においてIgGの漏出が増大していることを明らかにした。先行実験のフィブリノゲンの漏出増大とあわせ、ATF6αKOマウスでは小胞体ストレス応答が減弱するために脳血管関門破綻が顕著になり細胞障害が進み、亜急性期の梗塞巣サイズの増大に関与していると考えられた。 慢性期の比較においては、梗塞巣が萎縮し瘢痕状になることよりサイズの評価が困難であった。これまでにえられたデータでの比較では明らかな梗塞巣のサイズ差を認めていない。 これまでに当教室では、野生型に比べてATF6αKOマウスでは慢性期のミクログリアの活性化が低下し、炎症変化を減弱させていることを多発性硬化症モデルで示している(Ta MH et al, J Neurochem 2016)。今回、慢性期に梗塞巣の有意差がつかなくなったのは、脳虚血モデルでも同様に、慢性期にはミクログリアの活性化が低下するため、梗塞巣拡大が制御された可能性を考察している。 申請者はこれまでに、ATF6αKOマウスでは亜急性期の梗塞変化においてアストロサイト活性化能が低下していることを見出していたが、この考察を裏付けるために脳虚血時のミクログリアの活性化についても解析を進める必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
脳虚血を起こしたATF6αKOマウスでは梗塞巣周囲のIgGの漏出増大所見により、小胞体ストレス応答が亜急性期の脳血管関門破綻に関与している所見がえられた。 野生型マウスとATF6αKOマウスの慢性期の梗塞巣のサイズに有意差がつかなかったことより、今後ミクログリアの活性化について解析を進める必要が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
血管新生、神経再生に関わる因子の検討を行い、梗塞巣の広がりにおける小胞体ストレス応答のメカニズムの解明を行う。 ミクログリア活性化が梗塞巣の広がりに与える影響の解析を行う。
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Causes of Carryover |
成果発表までにいたらず、旅費の支出が生じなかったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験動物、試薬等の購入 成果発表の旅費、論文校閲費
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