2016 Fiscal Year Research-status Report
小脳腫瘍患者における安静時脳内ネットワークの変化によって生じる認知機能障害の解明
Project/Area Number |
16K20018
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
城間 綾乃 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (50751567)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 小脳腫瘍 / 認知機能障害 / 安静時脳活動データ / 機能的結合性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究の目的は、神経回路の不可逆的損傷を伴わないテント下の腫瘍性病変で尚且つ良性腫瘍に対象を限定し、術前、術後の治療経過に伴い継時的に機能画像及び神経心理学的解析を行うことで、小脳と大脳間の安静時脳内ネットワークのダイナミックな機能的結合性の変化を明らかとすることである。具体的には琉球大学医学部附属病院脳神経外科で加療をしている病巣を小脳とする良性腫瘍患者を対象に、認知機能の評価と磁気共鳴画像装置(3T MRI Discovery 750E GE社)を用いた安静時脳活動データの取得を行い、認知機能に関係する小脳と大脳間の機能的結合性について解析を行う試みである。本年度は、小脳腫瘍患者の認知機能障害の有無を、情報処理速度、作業記憶、実行機能系の課題成績によって評価し、小脳-大脳間の機能的結合性の相違を健常者と比較することで解析を行うことを目的とし、研究を遂行した。琉球大学医学部附属病院脳神経外科にて加療を行う良性の小脳腫瘍患者3名と健常被験者5名を分析対象とし、データの収集を行った。治療前の認知機能の評価としては、全般性認知機能評価としてMini-mental state examination(MMSE)と長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)、注意機能・作業記憶評価としてDigit span test、情報処理速度評価としてDigit symbol test、視空間構成機能評価としてBlock test、 Cube copying test、記憶機能評価としてHopkins verbal learning test、実行機能評価としてTrail making test、 Stroop testを使用してデータの収集を行った。本研究では情報処理速度、作業記憶、実行機能系の課題成績が平均よりも-2SD低下していた場合に、認知機能障害を有すると定義している為、本年度は認知機能障害を有する小脳病変患者についてのデータ収集を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は、琉球大学医学部附属病院脳神経外科にて加療を行う良性の小脳腫瘍患者20名と健常被験者20名のデータを収集する予定であった。しかし、良性の小脳腫瘍患者、健常被験者の収集データが目標人数に達しておらず、小脳腫瘍患者の認知機能障害の有無及び健常被験者との比較実施を行うため、データの蓄積を続けている段階となっている。また並行して、両者の脳画像データの取得も続けており、fMRIによる安静時脳活動データの取得及び小脳-大脳間の機能的結合性と認知機能との関連性の検討がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
小脳損傷による認知機能障害の評価を継続し、認知機能の回復過程における小脳-大脳間の機能的結合性の変化に関して被験者内での解析を遂行する予定となっている。今後は引き続き、加療前の小脳腫瘍患者の認知機能評価の実施を継続し、加療後の認知機能障害のう有無を評価するために認知機能評価を継続し、治療終了後1年にわたり継時的に追跡調査を行う予定である。また、3T MRI Discovery 750E GE社の磁気共鳴画像装置を用いて、認知機能障害を有する小脳腫瘍患者の機能画像と構造画像といった脳画像データの取得・解析を進める予定である。認知機能障害を有する小脳腫瘍患者と認知機能低下を認めない健常群を比較し、小脳と機能的結合性が有意に増加している領域または減少している領域を明らかにすることで、認知機能障害を誘発する小脳-大脳間の機能的結合性の変化を検討してゆく予定である。
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