2016 Fiscal Year Research-status Report
MR拡散テンソル画像を用いた障害神経の新たな評価ツールの開発
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16K20058
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
宮城 亮 徳島大学, 病院, 助教 (40748620)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | MRI / 拡散強調画像 / MRニューログラフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
神経障害性疼痛はしびれ、知覚異常、運動麻痺をはじめ多彩な臨床症状を示すほか、その病態は実際のところ明確にされていない。診断上でも症状と画像・検査所見が一致しないことが少なくなく、確定診断、治療に苦慮する事が多い。放射線医学ではMRIの拡散強調画像を用いる事で神経障害の指標になりうる可能性が報告されている。我々は3テスラMRIをもちいて腰椎神経根の拡散テンソル画像(DTI)を描出し、腰椎神経根のノーマルパターンを発表している。(Miyagi R, et al. BMC Musculoskelet Disord. 2015) 。今回我々は1.5テスラMRIを用いて、腰部神経根のDTIを得た。つついて坐骨神経の描出ができることを確認した。臨床応用としては梨状筋症候群における罹患側での座骨神経のFAが低下、ADC値が上昇することを発表した。(拡散テンソルMRIを用いた座骨神経評価. 腰痛学会. 2016) このことから梨状筋症候群における非侵襲的な診断ツールになりうると思われる。 次に、神経根の評価には拡散強調MRニューログラフィーを用いることで、神経根の走行の異常や奇形などを評価すると同時に、神経根の損傷について評価した。このMRニューログラフィーは今までhidden zoneといわれ神経の描出が困難であった椎間孔内での走行が明瞭に描出されるほか、神経の損傷により拡散が変化することが既に示されており、我々はこの拡散強調像を用いる事で今までの画像診断では説明のつかなかった病態の解明ができると考えている。平成28年度は、拡散強調MRニューログラフィーで、神経根の走行の異常や奇形などを評価が行えることを証明した。(Diffusion-weighted MR Neurography ( DW-MRN)を用いた腰部神経根の形態評価. 腰痛学会. 2016)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初撮像予定してたMRI機種から別の1.5テスラのMRIの撮像となったため至適撮像条件を得るために期間を要した。よって当初予定していた絞扼性神経障害の症例が十分集まっていない。設定した条件の元、喫緊に対象症例の撮像を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
1.拡散テンソルを用いた末梢神経の描出:我々は正常健常ボランティアを集い、1.5テスラMRIを用いて肘部での尺骨神経、手関節部での正中神経の撮像条件設定の為のOptimal studyを行う。つづいて肘部管症候群、手根管症候群患者での撮像を行い、臨床症状、電気生理検査などの従来の検査法との対比を行い、絞扼性神経障害での有用な診断ツールとなりうるか評価する。 2.MRニューログラフィーを用いた腰椎神経根の評価:1)症例を蓄積し、神経根奇形の率を明らかにする。2)神経根の横走化と実際の症状がどう関係しているか患者の症状と対比させて評価する。 3.拡散テンソル画像を用いた、神経障害の程度とADC, FA値相関、及び回復期におけるADC, FA値の推移:動物を用い、ラットの坐骨神経結紮モデルを作成する。7テスラ動物用MRIを用いてDTIを撮像する。結紮を解除することで神経障害が徐々に回復してくる事から、回復の度合いをADC、FA値と顕微鏡下での神経細胞数を測定することで、両者の相関につき評価する。
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Causes of Carryover |
本年度は予定していた動物実験を行わなかったため差額が生じた
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に繰り越して物品費として使用予定である。
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