2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K20415
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
塩屋 幸樹 松本歯科大学, 歯学部, 助教 (40727632)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ロイコトキシン / 侵襲性歯周炎 / 骨吸収 / LPS / 病原因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
侵襲性歯周炎の発症に関与するAggregatibacter actinomycetemcomitansは、その菌株間で病原性に差異がある。特に、外毒素であるロイコトキシン(LtxA)高生産株(JP2株)により重篤な症状が引き起こされている。そこで、我々はその病原性の違いにLtxAとLPSの性質が関与している仮定し、ロイコトキシン高生産株とそれ以外のserotypeの菌株由来のLtxAおよびLPSを比較解析することで、侵襲性歯周炎の発症機構の解明を目的としている。 平成28年度は、「LPSとLtxAの相乗効果の解析」と「LtxAのアミノ酸配列による単球・白血球への影響解析」を目的とした。そこで①「共存培養系を用いたLtxAによる骨吸収活性解析」、②「様々なserotypeからのLtxA精製」、③「LtxAの高次元構造解析」を目標に研究計画を立てた。①LPSの影響を少なくするため、細胞培養系にはTLR4欠損マウス由来の細胞を用いた。TLR4欠損マウス由来の骨芽細胞と骨髄細胞の共存培養系に精製LtxAを添加し、LtxAによる破骨細胞の分化・活性化を評価した。その結果、LtxA濃度依存的な破骨細胞への分化が確認された。このことよりLtxAによる直接的な骨吸収機構の存在が示唆された。②JP2株の培養液上清から、ゲルろ過クロマトグラフィーにて純度の高いLtxAの精製に成功した。しかし、JP2株以外の菌株のLtxA産生量は低く、純度の高い高濃度のタンパク質を精製出来なかった。そこで、現在は異種発現系を用いたタンパク質発現を検討している段階である。③純度の高い精製LtxAを得ることが出来たため、未だ明らかとなっていないLtxAの高次元構造解析を行うことにした。現在は結晶化条件の検討を行っている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度は、①共存培養系を用いたLtxAによる骨吸収活性解析、②様々なserotypeからのLtxA精製、③LtxAの高次元構造解析を行った。①TLR4欠損マウス由来の骨芽細胞と骨髄細胞の共存培養系に精製LtxAを添加することで、破骨細胞の分化が確認された。しかし、その分化には1μg/mlと高濃度のタンパク質が必要であった。②LtxA高生産株であるJP2株からはゲルろ過クロマトグラフィーを用いることで精製度の高いLtxAを精製することに成功した。しかし、別のserotypeの菌種からのLtxA精製を試みたが、LtxA産生量が少なく容易に精製することが出来なかった。そこで、大腸菌などを宿主にした異種発現系でLtxAの発現させることで、様々なLtxAを精製することにした。現在は異種発現系の確立を行っている状況であり、当初の計画より遅れている。③純度の高い精製LtxAを得ることが出来たため、未だ明らかとなっていないLtxAの高次元構造解析を行うことにした。LtxAとその受容体であるLFA-1の相互作用およびLtxAの孔形成機構を解明するためには、その高次元構造の解明が必要と考えた。そこで、②で精製したLtxAを用いてX線構造解析のための、結晶化の条件検討を行った。これまでに約1500条件以上での条件検討を行ったが、結晶を得ることが出来なかった。現在も結晶化の条件検討を行っている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初は、serotypeの異なるLPSを用いた骨吸収の比較解析とLtxA との相関関係解析を行う予定であったが、精製LtxAを得ることが出来たため、平成29年度に計画していたLtxAによる骨吸収活性解析を前倒しで行った。平成29年度は引き続きLtxAによる骨吸収活性解析とLPSの影響を解析して行く予定である。 LtxAのアミノ酸配列による単球・白血球への影響解析については、様々な菌株からのLtxAの精製が困難だったため、大腸菌あるいは枯草菌を宿主にした異種発現系の確立を行う予定である。平成29年度は異種発現系で発現・精製したLtxAを用いて、マクロファージの細胞死、IL-β産生能を評価して行く予定である。また、引き続きLtxAの高次元構造解析を行い、構造が明らかになればその受容体であるLFA-1との相互作用解析も行う予定である。
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Research Products
(3 results)