2018 Fiscal Year Annual Research Report
The search of factor which regulate sensitivity to cetuximab focused on immunological alteration
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16K20625
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
野口 映 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (10456395)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | セツキシマブ / EGFR / 扁平上皮癌 / 口腔癌 / 頭頚部癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
セツキシマブはEGFRを標的としたキメラ化モノクローナル抗体であるが、その作用機序は不明な点が多く、その抗腫瘍効果において免疫学的作用機序の面からはほとんど検討されていない。そこで本研究は、ジェネティクス、エピジェネティクス、immunologyといった多方面から解析する事で、セツキシマブの作用機序の解明ならびに治療効果予測マーカーの開発を試みることとした。まずはじめに複数の扁平上皮癌由来細胞を培養し、セツキシマブに対する感受性を調べた。対象とした細胞はHSC-2、HSC-3、HSC-4、B-88、SAS、KOSC-2、A431の7株であった。このうち、結果としてセツキシマブの持続的な感受性を示したものはA431のみであった。EGFRのタンパク発現に関しても、ウエスタンブロット法による検討で高値を示したのは、A431のみであった。ジェネティクな検討として、IonAmpliseq Cancer Hotspot Panel v2によるがん遺伝子hot spotの網羅的遺伝子変異解析を行った。セツキシマブに影響を及ぼす可能性が考えられるものはNRASやHRAS変異が一部の細胞でみられる程度であった。エピジェネティックな検討では、複数種類のHDAC阻害剤との併用を検討した。その結果、ある種のHDAC阻害剤により、EGFRのmRNA値の上昇を認め、セツキシマブ感受性を獲得するものがみられた。特に影響の強くみられた細胞では、形態的に細胞間の結合性の低下がみられた。 これらの結果から、内在性にEGFRの発現が低く、セツキシマブ抵抗性を示す細胞において、ある種のHDAC阻害剤をセツキシマブに併用することで、セツキシマブの効果を増強する可能性が示唆された。今後は、この機構のさらなる解明に挑んでいきたい。
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