2016 Fiscal Year Research-status Report
小児の口唇閉鎖不全は咀嚼・嚥下機能にどのような影響を及ぼすのか?
Project/Area Number |
16K20650
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
森園 健 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (00759938)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 嚥下動作 / モーションキャプチャ / 三次元動作解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
口唇閉鎖不全から誘発される異常な咀嚼・嚥下動態の関連性を探ることが本研究の目的である。嚥下動作は、頭頚部関連器官の協調動態の解明が困難であると言われているので、嚥下動作の評価法の確立から着手することにした。 口唇機能は嚥下において重要であるが、嚥下時の生理的な口唇機能の評価法は見当たらない。口輪筋を含む筋の集合部であるモダイオラスが、嚥下時に口角を外側へ引くと言われている。よって、これまでに我々は、嚥下時の口角の動きを口唇機能として解析し、さらに嚥下時舌圧を同期観察することによって、嚥下時の口唇と舌の協調動態を検討し、嚥下時の口唇機能の評価法として口角間距離の変化量が有効であることを示唆した。 次の展開として、ライフステージ全般に適用可能にするために、モーションキャプチャを用いて嚥下時の口角間距離の変化量を評価し、嚥下時舌圧の代わりに嚥下音との協調動態を検討するために、健常成人男性10名(平均年齢:23.5±2.5歳)を対象に計測した。嚥下時舌圧と同期時と同様に、被験者には、口唇運動記録のために左右口角部に1点ずつマーカーを貼付し、水5mlと20mlを口腔内に保持させて自分のタイミングにて一口で嚥下させ、各々3回計測した。また、咽喉マイクを他の文献を参考にして同期記録した。嚥下時の口角間距離変化量、口角間距離が最大となる時間と嚥下音の絶対値が最大となる時間の差(口唇-音時間)を求めて、水量の相違による差についてWilcoxon検定を用いて検討した。 嚥下時舌圧同期時の結果と同様に、一口量の増加により、口角間距離変化量は有意に大きく、口唇-音 時間は短くなった。このことから、一口量の増加によって口腔顔面軟組織の協調性が必要になり、口唇の動きを大きくして各器官の作用のタイミングが短縮したものと推察された。本結果は、学会で発表予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
嚥下時の口唇機能の評価法として、モーションキャプチャを用いて嚥下時の口角の動きを三次元解析することが有効であることが示唆され、嚥下音との同期計測まで実施したから。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまで我々は、嚥下時舌圧を用いて、嚥下動作のタイミングを計ったが、シーネの装着が必要であるので、小児や障害児、高齢者には適用が困難である。そこで、嚥下音を同期計測して、より簡便な嚥下動作の評価法を確立する。また、嚥下音を同期記録させることによって、咀嚼から嚥下までの協調動態の検討ができるので、追加計測・解析し、学会発表や論文にまとめる。
|
Causes of Carryover |
モーションキャプチャと呼吸の動態を同期記録させることに予想していたより時間を費やし、嚥下音とモーションキャプチャを同期させる研究の進行が少し遅れたので。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
モーションキャプチャによる口角の動きと嚥下音の同時評価法には着手できたので、甲状軟骨周囲軟組織動態と嚥下音との同時評価や、咀嚼から嚥下の協調動態の評価法を確立するために追加計測・解析し、その成果の学会発表や英語論文の校正・投稿費に使用する。
|
Research Products
(2 results)