2016 Fiscal Year Research-status Report
児童生徒の長所・資源に着目した生徒指導モデルの構築
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16K21021
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
伊藤 秀樹 東京学芸大学, 教育学部, 講師 (80712075)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 生徒指導 / 生活指導 / 長所基盤アプローチ / ストレングス / ピグマリオン効果 / ほめて伸ばす |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、児童生徒が有する長所・資源に着目した生徒指導のモデルを構築し、その可能性と限界に関して検討を行うことにある。そうした目標の達成に向けて、本年度は以下の3つの研究を実施した。 1点目は、児童生徒が有する長所・資源に着目した生徒指導のモデルの構築に向けた、隣接領域の理論と、学校教育における実践例の文献収集と検討である。隣接領域の理論については、①心理学におけるピグマリオン効果、②犯罪者の「立ち直り」における長所基盤アプローチ、③精神保健福祉サービスやスクールソーシャルワークにおけるストレングスアプローチの3点に注目し、文献の収集・検討を行った。学校教育における実践例については、菊池省三氏による「ほめ言葉のシャワー」の実践に着目し、文献・DVDの収集・検討を行った。これらの検討をもとに暫定的なモデルを作成し、8月の教員免許状更新講習にて現職教員に講義を行ったところ、多くの方から授業後に感想をいただいた。それらの感想を反映し、来年度は論文執筆を行う予定である。 2点目は、児童生徒が有する長所・資源に着目した生徒指導と、同時期に波及した別のタイプの生徒指導モデルとの比較検討である。具体的にはゼロトレランスと修復的実践について文献を収集し、それぞれの意義と課題について検討した。ゼロトレランスや修復的実践との対比からは、長所・資源に着目した生徒指導を実施するうえでの留意点も数多く見えてきており、今後精緻な検討を行うことで、学会発表と論文執筆につなげていく。 3点目は、児童生徒の長所・資源に着目した生徒指導についての、元小学校教員2名へのパイロット・インタビューである。パイロット・インタビューからは、児童生徒の長所・資源に着目した生徒指導がもちうる効果や、実施上の留意点が浮かび上がった。本調査の経験を生かし、来年度以降の教員インタビュー調査に向けて、質問項目を精査していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
文献収集、モデル化に向けた検討は順調に計画通りに進んでおり、来年度に計画していたパイロット・インタビューも今年度に実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
児童生徒が有する長所・資源に着目した生徒指導の実践例については、より幅広く実践例を把握するため、インタビュー協力者への打診を早い段階で始める予定である。
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Causes of Carryover |
来年度に国際会議での発表を行うため、購入予定だった文献を一部複写に切り替え、消耗品等の購入や謝金の支出を控えたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度に、日本における生徒指導(ゼロトレランス、児童生徒の長所・資源に着目した生徒指導、修復的司法)の展開について、国際会議にて発表を行う予定である。
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Research Products
(3 results)