2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K21103
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
高田 宗平 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 客員研究員 (80597188)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 漢学 / 漢籍 / 受容史 / 公家 / 官人 / 顕密僧 / 『論語義疏』 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、本研究の初年度であることから、資料の蒐集・調査・分析に注力した。本研究課題である、清原家以外の公家・官人層、顕密僧の漢学実態を解明するため、京都大学総合博物館所蔵勧修寺家文書、国立歴史民俗博物館所蔵の廣橋家旧蔵記録文書典籍類並びにその他館蔵資料、国立公文書館内閣文庫所蔵資料を調査した。勧修寺家文書は紙焼き写真、国立歴史民俗博物館及び内閣文庫所蔵資料は原本を実見し、各々蒐集・調査・分析を実施した。これにより、検討する上での資料・データの集積を図った。 また、古代に受容された『論語義疏』の例証に『令集解』所引『論語義疏』を選定し、これを室町時代書写の旧鈔本『論語義疏』、鎌倉時代後期から南北朝時代書写の曼殊院門跡所蔵『論語総略』、室町時代末期江戸時代初期書写の慶應義塾図書館(慶應義塾大学三田メディアセンター)所蔵『論語集解叙鈔』と比較検討し、『令集解』所引『論語義疏』の性格、検討諸本・典籍所引『論語義疏』間の相異点とその要因、『論語総略』所引『論語義疏』の特徴などについて解明した。その結果を「日本古代對《論語義疏》的受容管窺―以《令集解》所引《論語義疏》二條爲例―」と題して、上海師範大学で開催された国際学術会議「《十三經注疏》研究―“從本土到海外”國際學術研討會」に於いて発表し、更に同会議の「大會總合討論」にて、古代漢学と中世漢学の相異点・特徴、日本伝存漢籍古鈔本の特徴などについて議題を提起し、討議した。経学、敦煌学・吐魯番学、中国古典文献学を専門とする中国人研究者が出席した同会議に於いて、上記の議題を提起・提唱し、討議したことは意義深い。席上、上海師範大学哲学与法政学院教授 石立善教授、浙江大学古籍研究所教授 許建平氏、北京大学中国語言文学系講師 程蘇東氏 等と情報交換と交流し、指教を受け、新知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
勧修寺家・廣橋家並びにその周辺については、京都大学総合博物館所蔵勧修寺家文書、国立歴史民俗博物館所蔵の廣橋家旧蔵記録文書典籍類、国立公文書館内閣文庫を調査し、顕密僧についてはまず国立歴史民俗博物館所蔵資料を調査し、それぞれ分析している。勧修寺家文書中の改元・年号勘文資料の多くは紙焼き写真を入手済みで、廣橋家旧蔵記録文書典籍類は画像データを入手しつつある。国立歴史民俗博物館所蔵のその他資料及び国立公文書館内閣文庫も、徐々に画像データを入手している。また、古代に受容された『論語義疏』と中世に受容された『論語義疏』の相異点について検討し、国際学術会議に於いて発表した。このように、研究計画遂行に必要な資料を蒐集しつつあり、また随時、調査・分析を行い、更に国際学術会議にて発表したことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に蒐集・調査した資料や平成29年度に蒐集・調査する資料を活用し、研究論文・学術会議での発表等を行い、研究成果を発信していく。京都大学総合博物館所蔵勧修寺家文書、国立歴史民俗博物館所蔵の廣橋家旧蔵記録文書典籍類並びにその他館蔵資料の調査・分析を加速させ、必要に応じて他の所蔵機関へ赴き、調査を行う。また、中世に於ける『論語義疏』受容についても引き続き、調査・検討を行う。
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Research Products
(5 results)