2017 Fiscal Year Research-status Report
科学の有用性を高める真正の学習論に依拠した授業デザインと協働検討システムの構築
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16K21478
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Research Institution | Kyoto Notre Dame University |
Principal Investigator |
小川 博士 京都ノートルダム女子大学, 現代人間学部, 准教授 (90755753)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 真正の学習論 / 中学校理科 / 高等学校理科 / 科学や理科学習に対する態度 / 協働検討システム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、平成28年度中に単元開発・実践した事例(中学校理科「電流と磁界」)のデータ分析を行った。 具体的には、単元後の生徒の感想記述を計量テキスト分析し、共起ネットワークのサブグラフ検出(modularity)の結果から「科学の内容」、「日常生活」、「有用感」などのコードを導出した。コード間の関連度を表すJaccard係数を算出したことろ、「科学の内容」と「日常生活」や「日常生活」と「有用感」の関連度が高かった。そのため、中学校理科において、実社会・実生活との関連を志向する真正の学習論に依拠した単元開発・実践が、「科学の内容」と「日常生活」を架橋し、その結果として「有用感」など、情意面の改善につながることが推察された。また、これらの成果の一部は、日本理科教育学会にて発表することができた。現在、質問紙による量的分析の結果も合わせて、研究成果を総括し論文化しているところである。 高等学校における実践では、生物基礎「生物の体内環境の維持」において、Dropboxを活用した協働検討システムによって単元開発を行った。Web上において、単元開発のための理論的視座の提供により、実践者が単元開発を進めることが可能と考えていたが、具体的な授業イメージがつかみにくく難航した。そのため、はじめは、直接コミュニケーションによって、理論的視座や具体的な実践事例を授業者に提供し、その後、Web上による検討を行った方がよいという示唆が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度中に高等学校生物基礎「生物の体内環境と維持」の単元開発・実践し、データ分析を終える予定だったが、協力校の学校行事や季節性の感染病の流行等によって、実践終了時期が年度末になり、データ分析まで行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度中の高等学校生物基礎「生物の体内環境と維持」における効果検証として実施した質問紙調査のデータ入力を進める。そして、事前事後による統計的分析(対応のあるt検定)を行う。また、自由記述のデータについては、KH Coderを用いて計量テキスト分析を行う予定である。分析の結果は、Dropboxや直接コミュニケーションによって、授業者と共有し、実践や研究の成果と課題を検討する。成果は、学会発表や論文化を行う予定である。
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Causes of Carryover |
高等学校生物基礎の検証授業及び調査が予定よりも遅れたため、データ入力に至らず、そのための入力謝金を使用できなかった。 平成30年度以降は,研究打ち合わせ及び成果発表のための旅費として使用していく。また,高等学校生物基礎における授業実践及び調査によって得たデータの入力謝金として使用する予定である。併せて,論文の抜き刷り費用等として使用していく。
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Research Products
(2 results)