2016 Fiscal Year Research-status Report
driver遺伝子異常肺癌に対する分子標的薬の耐性化と、抗PD1抗体の有効性
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16K21506
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
林 秀敏 近畿大学, 医学部, 講師 (10548621)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | バイオマーカー / 個別化医療 / 免疫チェックポイント |
Outline of Annual Research Achievements |
非小細胞肺癌におけるdriver 遺伝子異常(EGFR 遺伝子変異やALK 融合遺伝子など)に対する分子標的薬治療およびその耐性化と、免疫チェックポイント阻害療法の有効性との関係性についてまずは臨床的な検討を行った。EGFR-TKI耐性後で耐性因子を解析し、さらに抗PD-1抗体であるニボルマブを使用した25例についての耐性因子と治療効果の関連について検討した。25例全例で組織もしくは血漿中のcell free DNAによるT790M検索が行われ、8例がT790M変異陽性であった。T790M陰性症例は陽性症例と比較して無増悪生存期間及び奏効率ともに良好な傾向が認められたのに加え免疫染色にて評価したPD-L1の発現もT790M陰性症例で高い傾向であった。また、EGFR変異陽性肺癌であってもPD-L1の高発現例ではPD-L1の発現が10%以上の陽性例で奏効率が75%(陰性例は0%)であり、2例に認めた50%以上の高発現例は共に奏効を示すなど、有意差をもってニボルマブの奏効率が改善した。さらにEGFR-TKI耐性後でT790M変異検索が行われている60例においてPD-L1発現およびCD8、FOXP3陽性のTリンパ球を免疫染色において評価したところ、T790M変異陰性例においてPD-L1発現率が高い傾向を認め、また有意なFOXP3陽性Tリンパ球の減少を認めた。また、ニボルマブ使用症例9例(うち奏効例3例)の全エクソーム解析にてnon-synonymous mutation数を評価したところ、奏効例では有意にmutation数が高値であった。現在EGFR発現とMHC発現を細胞株を使用して基礎的に検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
EGFR-TKIに耐性を示した後にニボルマブを使用したEGFR変異陽性非小細胞肺がん25例の有効性および免疫関連因子を検討した。25例全例で組織もしくは血漿中のcell free DNAによるT790M検索が行われ、8例がT790M変異陽性であった。T790M陰性症例は陽性症例と比較して無増悪生存期間及び奏効率ともに良好な傾向が認められたのに加え(PFS中央値:2.1 vs 1.3ヶ月, HR: 0.48, p = 0.099, 奏効率 24% vs 13%)、免疫染色にて評価したPD-L1の発現もT790M陰性症例で高い傾向であった(T790M陽性/陰性、PD-L1発現10%以上; 17%/33%、50%以上; 0%/22% )。また、EGFR変異陽性肺癌であってもPD-L1の高発現例ではPD-L1の発現が10%以上の陽性例で奏効率が75%(陰性例は0%)であり、2例に認めた50%以上の高発現例は共に奏効を示すなど、有意差をもってニボルマブの奏効率が改善した。さらにEGFR-TKI耐性後でT790M変異検索が行われている60例においてPD-L1発現およびCD8、FOXP3陽性のTリンパ球を免疫染色において評価したところ、T790M変異陰性例においてPD-L1発現率が高い傾向を認め、また有意なFOXP3陽性Tリンパ球の減少を認めた。また、ニボルマブ使用症例9例(うち奏効例3例)の全エクソーム解析にてnon-synonymous mutation数を評価したところ、奏効例では有意にmutation数が高値であった。EGFR-TKI耐性症例に関しての耐性機序毎の抗PD-1抗体の有効性やnon-synonymous mutationを評価した初めての報告である(K.Haratani, H.Hayashi, et.al, Annals of Oncology, in press)
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Strategy for Future Research Activity |
細胞株を使用して当初はPD-L1の発現を耐性機序別に検討する予定であった。しかし、最近の我々の検討ではIFN-γ暴露下ではPD-L1発現はEGFR陽性肺癌細胞株では野生型に比して低く、追加での検討に意義を見出せなかった。しかし、実際に我々の臨床データよりEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんにおいても抗PD-1抗体が有効な症例が散見され、これらにどのような特徴があるのか、そもそもEGFR変異陽性肺癌ではなぜPD-L1発現が比較的低いのか基礎的な検討を行うために現在EGFR変異陽性細胞株を使用してEGFR発現とMHC発現や腫瘍浸潤リンパ球の関連を検討している。既にgene expressionではIFN-γ暴露下において、EGFR阻害がMHC発現の亢進を来していることを確認しており、フローサイトメトリーによる腫瘍細胞の細胞表面マーカーにおける検討を予定している。また臨床検体にてEGFR発現と腫瘍浸潤リンパ球の質的および量的な検討も行う見込みである。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Tumor Immune Microenvironment and Nivolumab Efficacy in EGFR Mutation-Positive Non-Small Cell Lung Cancer Based on T790M Status After Disease Progression During EGFR-TKI Treatment2017
Author(s)
K. Haratani, H. Hayashi*, T. Tanaka, H. Kaneda, Y. Togashi, K. Sakai, K. Hayashi, S. Tomida, Y. Chiba, K. Yonesaka, Y. Nonagase, T. Takahama, J. Tanizaki, K. Tanaka, T. Yoshida, K. Tanimura, M. Takeda, H. Yoshioka, T. Ishida, T. Mitsudomi, K. Nishio and K. Nakagawa
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Journal Title
Annals of Oncology
Volume: in press
Pages: in press
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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