2016 Fiscal Year Research-status Report
ジストロフィン遺伝子微小変異症例の解析によるスプライシング促進配列の同定
Project/Area Number |
16K21524
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
下村 英毅 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (30441273)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 筋ジストロフィー / スプライシング異常 / アンチセンスオリゴヌクレオチド / エクソンスキッピング |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、Duchenne型/Becker型筋ジストロフィー(DMD/BMD)のスプライシング促進配列(Exonic splicing enhancer: ESE)に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド(AS-oligo)によりエクソンのスキッピングを誘導する治療法の治験が世界各地で行われている。しかし、DMDでみられる遺伝子変異は多彩であり、症例ごとにスキッピングを誘導する標的エクソンが異なるため、多くの症例に本治療を適応するためには、ジストロフィン遺伝子内のESEを広く同定する必要がある。 平成28年度は、MLPA法によって欠失・重複変異が同定されなかった筋ジストロフィーの症例に対し、直接塩基配列解析法あるいは次世代シークエンサーにより点変異、1ないし数塩基の欠失・重複変異などの微小変異の同定を行った。該当症例において、mRNAの解析、およびスプライシング異常の同定を行った。 次年度以降は、mRNA、スプライシングの解析をさらに進め、スプライシングに影響する微小変異をカバーする約20塩基のAS-oligoを複数デザインする。そして、1ないし数エクソンの欠失を有する筋ジストロフィー症例の筋培養細胞にAS-oligoを添加し、mRNAにおけるスプライシングおよび蛋白の発現を解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、MLPA法によって欠失・重複変異が同定されなかった筋ジストロフィーの症例に対し、直接塩基配列解析法あるいは次世代シークエンサーにより点変異、1ないし数塩基の欠失・重複変異などの微小変異の同定を行った。該当症例において、mRNAの解析、およびスプライシング異常の同定を行った。解析は進んでおり、順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、筋ジストロフィー症例遺伝子のゲノム・mRNAの解析を行い、mRNAでみられたスプライシング型よりESEの候補配列を同定していく。筋ジストロフィー症例においてエクソンスキッピングを誘導している微小変異周辺を含む20塩基前後のAS-oligoを、数塩基ずつずらした形で複数デザインする。AS-oligoは修飾核酸である2'-O,4'-C- ethylene-bridged nucleic acid (ENA) /RNAキメラオリゴを用いる。ENA/RNAキメラオリゴは、通常のオリゴヌクレオチドに比べ、40倍有効であることが明らかにされている。筋培養細胞にアンチセンスオリゴヌクレオチドを導入し、48時間培養したのち、RNAを抽出する。RT-PCR法によりmRNAを解析し、エクソンスキッピング誘導の検討を行う。
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Causes of Carryover |
当初予定していた試薬を購入するに至らなかったため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試薬等の購入にあてる予定である。
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