2017 Fiscal Year Research-status Report
シロアリの食害行動に関与する水代謝システムの解明と制御技術の開発
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16K21597
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| Research Institution | Forest Research and Management Organization |
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Principal Investigator |
神原 広平 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (60727577)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| Keywords | シロアリ / アクアポリン |
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| Outline of Annual Research Achievements |
シロアリの食害行動と密接に関与する水代謝システムの分子基盤の解明を目的として、シロアリアクアポリンの機能の解明と機能阻害によるシロアリ個体への影響の検証を進めた。
（１）卵母細胞発現系を用いたアクアポリンの水輸送活性測定システムの構築：アクアポリンの水輸送活性測定に用いるアフリカツメガエル卵母細胞にRNAサンプルを微量注入するため、顕微注入及び撮像のシステムを構築した。次年度、卵母細胞に注入するために必要な構造を有するRNAを合成し、注入実験を実施し、アクアポリン遺伝子の膜透過能を解明予定である。
（２）RNA干渉によるアクアポリン遺伝子の発現阻害とシロアリ個体の食害行動への影響解明：イエシロアリのアクアポリンを標的に2本鎖RNAを合成し、イエシロアリ職蟻に対して摂食によるRNA干渉を行った。その結果、2本鎖RNAの合成は成功したが、ろ紙に含浸させた2本鎖RNAの摂食中や摂食後に変調をきたした個体はなく、標的としたアクアポリン遺伝子の発現阻害の効果は認められなかった。イエシロアリのアクアポリンを標的としたRNA干渉においては、摂食による遺伝子発現阻害の効果を得にくい可能性が示唆された。
（３）アメリカカンザイシロアリアクアポリン遺伝子のクローニング：イエシロアリと水への依存度が異なり、乾いた木材で生存可能なアメリカカンザイシロアリに着目し、水代謝システムを解明すべくRT-PCR解析によるアクアポリン遺伝子のクローニングを行った。RT-PCR解析に用いるプライマーは、シロアリ以外の他昆虫種で既知のアクアポリンの遺伝子配列情報をもとに設計したものを用いた。その結果、アメリカカンザイシロアリから新たにアクアポリン様遺伝子の部分配列をクローニングできた。部分配列から推定したアミノ酸配列を相同性解析に供したところ、当該配列はイエシロアリのアクアポリンと高い相同性を有することが明らかとなった。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度予定していた、RNA干渉法を用いたアクアポリンタンパク質の合成阻害による遺伝子発現レベルでのRNA干渉効果の確認及びシロアリ個体の表現型の変化を調査した。卵母細胞発現系を用いた水輸送活性の測定システムの実験系は構築したが、アクアポリン遺伝子の膜透過能の解明には遅れが生じた。一方で、 これまで供試材料として用いたイエシロアリと異なり、乾燥した生活環境に適応していることから、特徴的な水代謝システムを有している考えられるアメリカカンザイシロアリを用いて、新たなアクアポリン遺伝子をクローニングできたことから、総合して概ね順調に進んでいると判断した。
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| Strategy for Future Research Activity |
これまでにクローニングしたシロアリアクアポリン遺伝子に関して、卵母細胞発現系を用いた水輸送活性測定システムの実験系により、その膜透過能を明らかにする。さらに木材保存剤のうち、シロアリのアクアポリンの水透過能に影響を及ぼすと予想される考えられる薬剤成分が存在する。そこで、同測定システム実験系を用いて、上記薬剤成分がシロアリアクアポリンの膜透過能に与える影響を検証する。
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| Causes of Carryover |
（理由）卵母細胞発現系による水輸送活性の測定システムの実験系は構築したが、実際の測定に使用する試薬、器具類の購入に遅れが出たため次年度使用額が生じた。
（使用計画）今回生じた次年度使用額については、主としてシロアリアクアポリン遺伝子の水輸送活性と機能阻害の測定のための試薬購入に使用する。
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Research Products
(1 results)
