2022 Fiscal Year Annual Research Report
Examining the Minimalist Program: Merge, Transfer and Parameters (Fostering Joint International Research)
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16KK0038
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
小畑 美貴 法政大学, 生命科学部, 准教授 (80581694)
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Project Period (FY) |
2017 – 2022
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Keywords | 生成文法 / 一致関係 / カーボ・ベルデ語 / 動詞連結 / ラベル付け / 転送 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、人間言語における「文構造構築の仕組み」の解明に取り組んでいる。現在行っている研究は主に以下の2点である。①人間言語の言語演算に不可欠と考えられている複数の統語操作(併合、転送を含む)や原理は、言語システムにのみ固有のものであるのか、或いは他の認知システムにおいても働くより一般性の高いものであるのか、多角的検証を行う。②言語システムがどのように個別言語間差異を捉えているか、特にカーボ・ベルデ語の更なるデータ収集及び分析を行うことで、そのメカニズムの解明を目指している。 2022年度は主に以下の3点の研究を行った。第一に、Obata and Baptista (2020)におけるカーボ・ベルデ語の一致関係に関する論文を更に発展させ、2方向に一致関係を構築するメカニズムが、言語理論へ対してどのようなことを示唆するのか、検討した。一致の方向によって生じる意味解釈の差に注目し、カーボ・ベルデ語の形容詞や、分裂文などのデータ収集を行い、観察及び分析を行った。現在も継続して研究を行っている。第二に、2021年に日本英語学会シンポジウムにて発表を行ったSugimura and Obata (2021)の研究内容を更に発展させ、論文にまとめた。2021年の研究では主に英語のgo-get構文に関して研究を行ったが、日本語の複合語「乗り降り(する)」のようなタイプに関しても同様の分析が当てはまることを論じた。論文は現在査読中である。第三に、人間言語の表示を構築する際に「転送(Transfer)」及び「ラベル付け(labeling)」という操作が行われるが、これらの用語説明を執筆することで、本プロジェクトの成果の一部を社会へ還元することを目指した。
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