2016 Fiscal Year Research-status Report
量的緩和政策は無効か? DSGEモデルと日米データによる検証(国際共同研究強化)
Project/Area Number |
16KK0060
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
岡野 衛士 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (20406713)
|
Project Period (FY) |
2016 – 2017
|
Keywords | 量的緩和政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
量的緩和政策、質的緩和政策それぞれについて理論分析を行うべくCW (2010)に企業を導入したモデルを構築し数値解析を行った。所期の結果のうち上記A)「ゼロ金利下でも資産価格の下落に際して金融仲介機関が資金制約に直面する限り超過準備は貸出を回復させ、ひいては速やかにマクロ経済変数を安定化させ厚生費用を最小化する」という結果を得た。量的緩和政策の下では、資産価格を低下させるショックに際して法定準備を大幅に上回る準備預金がなされることで金融仲介機関は資金制約に直面することなく貸出を増加させ、結果として企業の雇用は変化することなく、 GDPギャップとインフレ率もほとんど変化することなく推移する。このため、経済厚生の損失もほとんど生じない。このことが数値解析によって確認された。また、質的緩和政策の下でも量的緩和政策と波及メカニズムは異なるものの資産価格が下落してもGDPギャップとインフレ率はほとんど変化することなく推移することが確認された。加えて、量的緩和政策、質的緩和政策それぞれの下での厚生損失は全く同一であった。つまり理論的に所期の結果上記C)「量的緩和政策と質的緩和政策は効果の面から同等であること」が確認された。この結果は既に行われたGK (2011)に詳細な中央銀行のバランスシートを導入したモデルの数値解析の結果と同一である。今後は研究計画に基づきDSGE-VARを用いてモデルを推定し、この推定結果に準じてモデルの動学的シミュレーションを行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画によるとCW (2010)に企業を導入したモデルを用いても分析を行うこととなっており、既に行われたGK (2011)に詳細な中央銀行のバランスシートを導入したモデルの数値解析と同小用の結果が得られた。つまり、進捗状況は当初の予定通りでありかつ得られた結果も当初の予定通りであった。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画に基づきDSGE-VARを用いてモデルを推定し、この推定結果に準じてモデルの動学的シミュレーションを行い、その上で米国のデータに基づいたシミュレーションを行う。
|