2019 Fiscal Year Annual Research Report
Study of Gamma-ray Burst Emission Mechanism Based on Radiation Transfer Calculation with Microscopic Dissipation Process(Fostering Joint International Research)
Project/Area Number |
16KK0109
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
伊藤 裕貴 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 研究員 (30434278)
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Project Period (FY) |
2017 – 2019
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Keywords | ガンマ線バースト / 衝撃波 / 輻射輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではガンマ線バーストなどの爆発現象における放射過程を、微視的な散逸過程を考慮した輻射輸送計算から明らかにすることを目的としています。今年度は、これらの爆発現象における最初期の放射である、大質量星やその放出物質を衝撃波が突き抜けた際に発生する放射の研究を行いました。 本課題に取り組むために最初に行なったことは、昨年度まで使用していた相対論的ジェットの内部に発生した衝撃波の散逸過程を計算する数値計算コードを改良し、制動放射に伴う光子生成吸収過程を実装することです。このコード開発は海外共同研究者の協力のもとで行い、安定して様々な状況に対応した衝撃波の計算が可能になっています。 次に完成したコードを用いて、光の速度の10パーセントからローレンツ因子20までの幅広い伝搬速度をもっている衝撃波の第一原理計算に取り組みました。このように非相対論的な速度から超相対論的な速度までを幅広くカバーした計算は前例がないため、本計算は先駆的なものとなっており、爆発現象の最初期の放射に重要な示唆を与えています。特に、放射スペクトルのピークエネルギーは衝撃波の速度が光速の10から50パーセントまでは速度に強く依存する一方、それよりも大きい速度では電子・陽電子が大量に生成されることによってほぼ一定の値となることが確認されました。また、ピークエネルギーより低いエネルギーのスペクトルは従来の予想よりもはるかに明るいことが明らかになっています。
上記はテルアビブ大学にて行った研究です。なお研究計画では、コロンビア大学において非熱的スペクトルの起源を探求する研究を実施する予定でしたが、テルアビブ大学における研究においては、その課題についても取り組むことができました。その結果、本課題の主な目的は達成されたため、コロンビア大学で共同研究を行う必要がなくなり、渡航を取りやめています。
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