2018 Fiscal Year Research-status Report
グローバル化の理念的・規範的評価によるグローバル・イシューの解決策
Project/Area Number |
16KT0095
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
太田 宏 早稲田大学, 国際学術院, 教授 (70288504)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 耕治 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (20165286)
上杉 勇司 早稲田大学, 国際学術院, 教授 (20403610)
舒 旻 早稲田大学, 国際学術院, 准教授 (20534986)
BACON Paul.M. 早稲田大学, 国際学術院, 教授 (40350706)
眞田 康弘 早稲田大学, 地域・地域間研究機構, 客員主任研究員(研究院客員准教授) (70572684)
中村 英俊 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授 (80316166)
土屋 大洋 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 教授 (90319012)
石井 敦 東北大学, 東北アジア研究センター, 准教授 (30391064)
|
Project Period (FY) |
2016-07-19 – 2020-03-31
|
Keywords | グローバル・イシュー / グローバル・ガバナンス / 将来予見型ガバナンス / anticipatory governance / foresight / engagement / integration |
Outline of Annual Research Achievements |
世界の難民問題に関して難民高等弁務官事務所における聞き取り調査を通じて、同国際機関が事後処理的な対応に追われていて、中長期的な視点あるいは危機的状況の軽減の視点からのガバナンスが行われておらず、本研究の中心的概念として検討した将来予見型ガバナンスの視点の必要性が確認された。また、開かれた自由主義の危機という問題認識に基づいて開催されたEU-Japanフォーラムへの参加を通して、民主主義体制の維持、人権問題、安全保障問題、気候変動問題に関する日欧のグローバル・イシュー解決に向けての協力が国際秩序の安定に不可欠であることが再認識され、AGの視点から将来の変化を知らせるわずかシグナルを読み取って、将来の異変に備える対応が求められることも確認できた。さらに、地域の経済秩序に関する研究では、中国の影響力の増大を脅威と認識するか、チャンスと認識するのかによって、アジア諸国の対応が異なるという、アジア諸国の連携のバリエーションをダイナミックに捉える議論も提示された。サイバーセキュリティとグローバル・ガバナンスの研究では、attributionの問題がサイバーセキュリティでは非常に重要で、AGアプローチの一要素である様々なシナリオ構築(foresight)の重要性が確認できた。気候変動問題の解決策としての地球工学的手法の導入の是非に関するAG概念からの分析と気候変動の緩和と密接に関連するエネルギー転換(脱化石燃料)に関する事例研究も、本研究プロジェクトの研究成果の一部として研究が進んだ。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グローバル・ガバナンスの現状把握としては、「グローバル・ガバナンス論とポスト・ポスト冷戦時代の国際秩序」論考にまとめられ、国内の学会で報告された。英国のEU離脱後のEU統合に関する研究、EU安全保障・防衛協力のガバナンス研究、EUの連帯とリスクガバナンス、EUと人間の安全保障やEUと日本の協力関係に関する研究成果の一部が、ベルギー自由大学と早稲田大学が中心になって定期的に行なっているEU-Japan Forumで報告された。また、気候変動問題の現状理解と日本の外交との関連での研究も進み、EUと日本の安全保障問題を包括的に取り上げた国際的な研究グループに参加しつつ、気候変動緩和策と関連の深いエネルギー政策に関する研究成果として、ドイツの研究者との共著でEUと日本の気候安全保障とエネルギー安全保障政策を比較した論文として研究成果をまとめた。また、日本の再生可能エネルギー開発をテーマとしたノルウェー科学技術大学日本セミナーの研究活動に参加し、日本の気候変動政策とエネルギー政策に関する論文として研究成果をまとめた。サイバーセクリティーについての現状把握は多岐にわたっているが、多くの研究成果をあげた。さらに、国際関係学会(International Studies Association: ISA)でanticipatory governance をテーマとしたパネルが採択され、日本のエネルギー転換の政治と中国の社会構造基盤開発援助をめぐるアジアの国際関係に関する研究報告ができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年3月にカナダのトロントで開催された国際関係学会(ISA)で設置されたパネル、"Can anticipatory governance properly deal with complex governance problems and 'wicked' problems?"で論文報告や討論を行った本科研のメンバーも含めて4月に国際ワークショップを開催した後に、編集本あるいは学術雑誌への投稿論文執筆という形で、研究成果発表の機会を追求する計画である。
|
Causes of Carryover |
2018年度中に準備していた国際関係学会(International Studies Association: ISA)での研究発表が2019年3月になったことから、ISA学会発表で得た研究情報や他の研究者からの指摘を取り入れ、より研究を充実させために、国際ワークショップを4月に開催し、編著書あるいは学術論文として研究成果をまとめるために次年度使用額が生じた。
|
Research Products
(12 results)